広島の男気・黒田の日本凱旋は成功だったのか、物足りなかったのか?
負ければCS出場消滅だった崖っぷちの阪神戦(4日・甲子園)で広島の先発、黒田博樹(40)は、9回途中まで投げて無失点。チームに逆転CS出場の可能性を引き寄せた。緒方監督は、8回で降板を打診したが、黒田は「大瀬良、中崎を休ませたい」と完投を志願。走者を貯め、中崎と交代したが、その男気でチームを鼓舞した。バッターとしても、追い込まれてから、8球ファウルで粘るなど阪神の先発、藤浪に13球も投げさせ、打線にハッパをかけた。勝てば、2年ぶりのCS出場となる今日7日の中日戦では、「一人でもいけと言われればいく」とブルペン待機する覚悟を語っているが、先発登板は、これが最後。 大きな注目を集めた日本復帰の1年目は、25試合(26試合登板)に先発、169回3分の2を投げて、11勝8敗、防御率、2.55の成績を残した。だが、タイトルとは無縁だった。結果として、バリバリのメジャーリーガー、黒田の男気を見せての広島凱旋は、成功だったのか、それとも物足りないものだったのか。 楽天の次期投手コーチ候補で、現在評論家の与田剛氏は「予想以上の数字」と評価した。 「勝ち負けの数字に関しては打線や中継ぎ、抑えとの関係性があることなので予想は難しいものですが、2ケタ勝利、170イニング、防御率は3点台前半だと考えていました。得点力のなかった打線と、大瀬良、中崎というブルペンがなかなか固まらなかった状況を考えると、この数字は十分に成功と言えるでしょう。170イニングにわずか3分の1届きませんでしたが、そのイニング数を投げて、防御率の2.55というのは、いかに黒田がゲームを作ってきたかを象徴しているかと思います」 黒田のメジャー仕込みの「フロントドア」「バックドア」と呼ばれるツーシームは、開幕当初、魔球として各球団の打者を席巻した。対戦が一巡、二巡する中で、つかまる場面も出てきたが、最後の阪神戦でも、ここ一番でコントロールされて併殺の山を築いたのは、その「フロントドア」だった。