【毎日書評】じつは、通勤時間は必要だった。最新研究でわかったストレス解消法
『世界最高峰の研究者たちが教える ストレス解消法』(田中はじめ 著、総合法令出版)の著者も指摘しているとおり、現代人はつねにストレスにさらされている状態にあります。仕事でもプライベートでも気が休まることはなく、疲れをため込んでいる方も多いのではないでしょうか。 しかも現実的に、私たちは生涯にわたってさまざまなストレスとつきあっていかなければなりません。考えただけでも気が重くなりますが、著者によれば、ストレスとうまくつきあっていく方法はあるようです。 そこで本書の出番。 本書では、世界の最新の研究をもとに、ストレスを軽減する方法や、メンタルヘルスに効く方法、なぜストレスを感じてしまうのかなどを紹介していきます。 本書に掲載しているすべてを実践する必要はありません。無理のない範囲で自分が試せるものから実践してみてください。(「まえがき」より) 紹介されている研究はすべて、ハーバード大学、スタンフォード大学、コロンビア大学などにおいて、世界有数の研究者たちが研究したことだそう。しかも決して難しい内容ではなく、「朝食を食べると幸せになれる」「ストレスで髪の毛が抜けてしまうことはあるのか」「ガーデニングをすると認知症予防になる」など、ユニークで興味深い話題ばかり。 ひとつでも実践してみれば、ストレスが軽くなることは間違いないと著者は断言しています。また、自分がどのような状況でストレスを感じているのかがわかれば、予防効果にも期待できそうです。 きょうは第2章「すぐに使えるストレス解消法①」のなかから、2つのトピックスを抜き出してみることにしましょう。
ポジティブ思考はいいこと?
ポジティブ思考になることの有効性は、複数の研究においても証明されているのだといいます。中高年のアメリカ人を対象として、ポジティブ思考の人の心と体の健康の関連性を調べた研究もそのひとつ。そこでは、人生に対して楽観的な見方を持つことは、精神的にも身体的にも健康によい影響を与えることがわかったというのです。 米国イリノイ大学のロザルバ・ヘルナンデスは、45歳から84歳までの参加者を5100人以上集め、38%が白人、28%がアフリカ系アメリカ人、22%がヒスパニック系、12%が中国人のさまざまな背景を持つ人を集めました。 参加者は、血圧、肥満度指数、コレステロール値、食事摂取量、身体活動、タバコの使用の6つの指標に従って心血管の健康度合を測定しました。 参加者には、これらの指標のそれぞれについて0(悪い)、1(中程度)、または2(理想的な)ポイントのスコアが与えられ、全体的な健康スコアを導き出しました。 また、参加者は、楽観主義のレベルに関するアンケートの記入も求めました。(64~65ページより) その結果、人種などに関係なく、楽観的なレベルがもっとも高い人は、悲観的な人にくらべて理想的な心血管系の健康状態にある割合が2倍も高いことがわかったのだとか。 最も楽観的と評価された人々は、楽観的ではない人と比べると中程度の健康スコアを取得する可能性が50%も高く、理想的なスコアを獲得する可能性が最大76%も高かったのです。(65ページより) つまり、ポジティブ思考になると心身ともに健康でいられる可能性が高くなるということが、科学的にも証明されたということ。 とはいえ、だからといってすぐに楽観的な性格になれるわけではありません。しかし著者によれば、ちょっとしたことを試してみるだけでも意味があるようです。 簡単な方法では、姿勢をよくするだけで物事をポジティブに捉えられるようになるという研究結果もあるそうなのです。簡単なことなので、試してみる価値はあるかもしれません。(64ページより)