【毎日書評】じつは、通勤時間は必要だった。最新研究でわかったストレス解消法
通勤時間がメンタルヘルスにつながる場合もある
日本では通勤時間に平均で片道約40分かかり、往復で1日1時間19分ほどかかるというデータがあるのだそうです。アメリカでも通勤時間は片道26分かかり、1日で考えると往復で約1時間近くかかるというデータが出ているのだといいます。 そんななか、新型コロナウイルス感染症が流行した影響でリモートワークが急増しました。しかし通勤時間がなくなると、多くの人は仕事とプライベートとの境界線が曖昧になり、ストレスが増えることがわかったのだそうです。通勤時間が、仕事とプライベートの切り替えに役立っていたという研究もあるようです。 米国ラトガース大学のクリスティ・L・マカルパインの研究で、実は通勤時間がメンタルヘルスに役立っていることがわかったのです。 通勤時間は、仕事と家庭の両方から解放され、仕事で疲れた体と心を回復するための時間で、精神的に家庭にギアを切り替えるために必要な時間であるということがわかりました。(67ページより) リモートワークへの移行に伴って、多くの人は通勤という、仕事とプライベートのギアを切り替える機会を失ってしまったわけです。しかし精神的にギアチェンジする手段がないと、それがストレスにつながっていくことになります。それどころか、仕事から離れないと、頭が仕事モードのままになってしまい、燃え尽き症候群に陥る可能性もあるようです。 米国ウェイン州立大学のマシュー・ピシュチェクの研究で、80人の大学職員の1週間の通勤について調査しました。朝夕にアンケートを実施し、通勤の特徴、通勤中に「仕事から離れて」リラックスしたか、帰宅時に疲れを感じたかなどを尋ねました。 この調査に参加した大学職員のほとんどが、通勤の時間を利用して、仕事から家庭へ精神的にうまく移行することができたと報告をしています。(67~68ページより) この研究結果は、私たちの日常にも活用できそうです。たとえばリモートワークの人は、仕事の始まりと終わりを示すために15分間の散歩など、回復と移行のための習慣をつけるべきかもしれません。そうすれば、通勤と同じ効果が得られる可能性があるからです。 常にスイッチがオンの状態になっているなら、精神的に疲れて当然。しかし仕事とプライベートの境界線を設けてみれば、メンタルヘルスへの大きな効果が期待できるということです。(66ページより) 各項目が読みやすくコンパクトにまとめられているため、無理なく気軽に読めるはず。いまの自分を悩ませるストレスを見極め、うまく共存していくための方法がきっと見つかるはずです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: 総合法令出版
印南敦史