世界がワリエワ”ドーピング裁定”に注目…論点は16歳以下選手の保護か、五輪の品位か…振付師が「手を出していない」と潔白主張も
フィギュアスケートの女子シングルの金メダル候補、カミラ・ワリエワ(15、ROC)の出場可否を決めるスポーツ仲裁裁判所(CAS)の聴聞会が13日、北京市内のホテルで始まった。ワリエワは、昨年12月のロシア選手権出場時に行われたドーピング検査で禁止薬物の「トリメタジジン」が検出され、ロシアのアンチ・ドーピング機構は、暫定的に資格停止処分を下したが、ワリエワ側の異議申し立てを受けて9日に資格停止処分を解除。その処分解除を国際オリンピック委員会(IOC)、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)、国際スケート連盟(ISU)が不服としてCASに異議申し立てを行ったもの。CASの裁定は、今日14日の午後に決定。15日から始まる女子シングルへのワリエワの出場可否が決まることになる。世界中が裁定の行方に注目している。
公聴会は6時間も。ロシア主張のビデオ映像も流出
ニューヨークタイムズ紙は、この聴聞会と審議について「誰もその様子を見ることができないが、北京五輪で最も重要なイベント」と報じた。 「日曜日の夜8時半過ぎ、北京コンチネンタル・グランド・ホテル内の会議室のドアが閉まり、聴聞会が始まった。会議室では五輪前のドーピング検査で陽性だったことが判明したロシアのワリエワが、引き続き五輪(15日からの女子シングル)に参加できるかどうかを判断することになっている」と重要イベントのはじまりを描写した。 同記事によると、審議の流れは、CASから任命された3人の仲裁人からなるパネルが、IOC、WADA、ISUの3つの組織がロシアのアンチ・ドーピング機構に対して申し立てた異議を検討。「ワリエワもビデオで証言する」という。 関係者へのヒアリングは6時間にも及ぶと予想されており、北京時間の14日の早朝まで夜を徹して行われ、終了後に、仲裁人は、短時間の協議を行った後、一度、退席し、同日に再び集まって審議を完了させることになるという。 同紙は「驚いた情報」として「聴聞会が行われている間に何人かのメディアに対してIOCからロシア・オリンピック委員会の発言内容のビデオがメールで送られてきた」というニュースをアップデートした。 同紙は、そのビデオを直接受け取っていないようだが、入手した情報によると、「ロシア・オリンピック委員会側は、スウェーデンの検査所でのロシア・アンチ・ドーピング機構の検体の取り扱いを酷評した」という。記事は、「仲裁人は、15歳の少女(ワリエワ)の五輪出場を停止させ、人生最大の大会(五輪)に参加させないことで彼女が受けるダメージと、もし出場を認めた場合に、大会の品位が損なわれるという可能性が、どう釣りあうかという冷静な議論を求められている」と、裁定の論点をまとめた。