「がん光免疫療法」開発者 小林久隆「最初に作ろうとしているのは前立腺がんの薬です」現在進行中のプロジェクトを語る
テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」でレギュラーコメンテーターの玉川徹とフリーアナウンサーの原千晶がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「ラジオのタマカワ」。「テレビではまだ出せていない玉川徹の新たな一面を発信!!」をコンセプトに、ビジネス、キャリア、マネー、カルチャー、エンタメ、音楽など、さまざまなジャンルをテレビとは違った角度から玉川が深掘りします。 今回の放送では医師の小林久隆先生をゲストに招き、新たながん治療法である「光免疫療法」について解説してもらいました。
◆光免疫療法を広いがん治療でおこなうためには
玉川:光免疫療法は現在どこまで実現しているのでしょうか? 小林:日本では1つのがんに対して承認がおりており、保険適用で使えるようになっています。それは頭頸部がん、首から頭の部分のあいだ(脳や眼球や皮膚は入っていない)にできるがんに関しては、再発のみの対象ですが受けられるようになっています。 玉川:なぜ頭頸部がんだけかというと、(使用する)お薬が1種類だからということですよね? 小林:そうですね。薬は他にも使える可能性がたくさんあるのですが、部位ごとに承認されているんですよね。一つひとつ、場所を変えたら承認してもらわないといけないプロセスがあります。 玉川:同じようながんって体の別のところでもできているので、そこも本来は同じ治療法で治せるはずなんです。だけど、まだそういった治験が進んでいない現状があります。それからもう1つ(ポイントになるの)は、がんの“目印”です。がんを見つけるには目印(がん抗原)があるんですけど、それは抗体が見つけて(抗体が)がんの目印にくっつくんですよ。 そこで、くっつく仕組みを利用して、抗体にもう1つ薬剤をくっつけるんです。その薬剤ががんにたくさんくっつくことで、赤外線をあてると(薬剤の形が変わってがん細胞に)穴が開いて壊れるんです。ポイントになるのは、1つの目印には1つの抗体しかダメなことです。ところが、がんっていろんな目印を持っているタイプがいっぱいあるのね。今のところ、1つの目印に対する薬しかないんですよ。 小林:結局、新しい薬を作っていくことになるんですよね。技術的にはいつでもできるんです。だけど、試さなければいけないし、そこですごくお金がかかるわけですね。経済的な面で厳しいのが現状です。 玉川:お金は何に一番かかりますか? 小林:薬の認可のために臨床試験、効くかどうかのテストするんですけども、そこで何百億円もかかります。適用拡大であっても何十億円ですね。そこが一番のハードルです。