プロ野球後半戦史上最大級の"大混セ"を抜け出すのはどの球団? 1973年、1992年シーズンに並ぶ大激戦!
■相次ぐ主力の離脱。4球団の課題と期待 ここからは球団別に課題や今後の期待ポイントなど、現状の戦力分析をしていこう。 【巨人】まずは前半戦を首位で折り返した巨人。7月はオールスター前まで11勝4敗と好調であり、「ここにきて投打共に戦力が整備されてきた」とお股ニキ氏は語る。先発投手では7月に3連勝を挙げた来日2年目左腕、フォスター・グリフィンの存在が大きい。 「グリフィンは、私も来日前から『広島で沢村賞を受賞したクリス・ジョンソンのようだ』と評価していた投手です。今季序盤は良くなかったですが、2軍でキッチリ仕上げてきました。5年目左腕の井上温大も成長していて、先発の駒はそろっています」 さらに、抑えの大勢が6月30日に復帰。以降、安定した投球を続けている。 「大勢は体調が万全であれば投げる球は別格。不在時に抑えを務めたアルベルト・バルドナードとうまく使い分ければ、いい状態が続きそうです」 野手陣もポジション変更を巧みに行なうことでうまくやりくりができている。 「交流戦から合流したエリエ・ヘルナンデスの存在、丸佳浩の好調が非常に大きい。また、打撃のいい大城卓三の一塁起用が当たりました。岡本和真もレフトで起用するなど戦術に幅があります。門脇誠の復調も期待したいですが、その分、ルーキーの泉口友汰が打撃でも奮闘しています」 巨人の課題は坂本勇人の復調だ。今季は2軍落ちも経験し、1軍復帰後もオールスター前まで15打数1安打だった。 「35歳という年齢もあるでしょうが、今季の外に広いストライクゾーンに対応できていません。少しベース寄りに立ち位置を変えるだけで変化はあるはず。内野ならどこでも守れる新外国人ココ・モンテスを獲得したのも、坂本の奮起を促す意図があるかもしれません」 【広島】続いて、交流戦後にしばらく首位をキープしたものの、前半戦を2位で折り返した広島。強みはもちろん、チーム防御率2.16を誇る12球団ナンバーワンの投手陣だ。 「防御率0点台の大瀬良大地、1点台の森下暢仁と床田寛樹の3本柱はどの球団も対戦したくないはず。広島は2年前、映像分析システムのホークアイを導入。そのデータの使い方もわかってきたのでしょう。また、球団OBの黒田博樹さんがアドバイザーを務めているのも大きいです」 救援陣の状態はどうか? 「昨季最優秀中継ぎ投手の島内颯太郎が2軍落ちしましたが、前半戦で6敗を喫するなど明らかに状態は良くなかった。それでも塹江敦哉らが奮起し、抑えの栗林良吏は盤石。この投手陣は今後も大崩れはしないでしょう」 では、なぜ広島は首位陥落してしまったのか? この点に関して、「以前から好打者として推していた末包昇大が6月末に肉離れで離脱してしまった影響が大きい」とお股ニキ氏は指摘する。 「広島は打線が課題です。末包の離脱後、7月はチーム打率が2割を切り、チーム本塁打も3本だけ。左打者中心のピストル打線のため、右の長距離砲である末包がいるといないとでは相手投手に与えるプレッシャーが変わる。後半戦のどのタイミングで末包が戻ってこられるかが重要ですが、へたに焦らず、万全の状態で戻ってきてほしいです」