荻原博子 会社員の妻は10月からパートでの<手取り>が減るかも!?政府が「お得です」と言っても、実際に増える年金はたった…
経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「10月からパートの手取りが減るかも!?」です(イラスト=さかがわ成美) 【写真】「持病持ち、高齢でも入れて保険料が安い」と語る保険に気を付けて!と話す荻原さん。その理由とは * * * * * * * ◆10月からパートの手取りが減るかも!? 年収が106万円(月額8万8000円)以上のパートで働いている人は、10月から勤務先の社会保険制度に加入しなくてはならなくなるかもしれません。 対象は、従業員51人以上の企業にお勤めの方。これまでは101人以上の企業が対象でしたが、10月から51人以上に拡大されるのです。 パート勤めの方のなかでも、独身者、自営業者の妻などは、自分で国民年金、国民健康保険の保険料を払っているはず。こうした人たちは、パート先の社会保険に加入できれば、会社が保険料の半分を払ってくれるので、これまでよりも支払額が減ります。 一方、会社員の妻は、夫の扶養に入っている年収130万円までの方なら、自分で保険料を支払わなくても国民年金、国民健康保険に加入できました。ですから、パート先の社会保険に加入することになると、今まで払わなくてもよかった社会保険料を支払わなくてはなりません。 年収106万円以内の場合、保険料の自己負担分だけで年間約15万円になり、そのぶん手取りが減ることになるのです。 もちろん勤め先の社会保険に加入していれば、社員と同じ手厚い医療保障が受けられるし、年金についても、将来は基礎年金に厚生年金が上乗せされます。そのため、政府は「お得です」と言うのです。 ところが年金について言えば、10年加入しても増えるのは年額5万円程度。月額になおすと4000円程度ですから、目先のお金が欲しくてパートに出ている人にとっては、先々の月4000円より、今月の1万円ということになるかもしれません。
◆企業にも社会保険料の負担は大きく 政府は、将来的には社会保険制度への強制加入を、従業員の数に関係なくすべての企業に義務づけることを検討しています。 そうなると、企業も保険料を同額負担するので、前述のパートの場合、年約15万円の保険料を負担せねばならない。 実は今、税金や社会保険料といった「公租公課」を滞納し、資金繰りに窮して倒産する企業が急増しています。税金よりも社会保険料の負担のほうが大きい企業もあり、社会保険料を抑制するために、パートの年収を106万円より低く調整するところも。 もし、ギリギリのラインにいるパートの方は、よく考えたほうがいいかもしれません。新たに社会保険料を払うことになっても、ガンガン働いて収入を増やせれば、それでいいでしょう。 ただ、そんなには働きたくないという人は、年収を106万円の一歩手前にしておくのもありだと思います。 (撮影=本社写真部)
荻原博子
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