またもやホイール色に衝撃! 新型『MT-07』の斬新カラーをヤマハデザイナーが紐解く
MT-09/MT07はネイキッドスポーツとモタードをハイブリッドしたような新コンセプトのバイク。MT=マスターオブトルクの車名の通り、絶対的な速さよりトルク感のある走り味を特徴とする。
「ところが市場にMTを導入して評価を聞くと、需要が上向く兆しが感じられた。既存概念にとらわれずに、街中でトルクを楽しんで乗ることに感動していただけている。ならばカラーも新しい見え方にトライしようとなった」と安田氏。では、なぜそれが蛍光イエローという結論になったのか?
「安全だけどクールに見える。そんな見え方を考えたときに、ホイールという回転物に蛍光色を使う発想が生まれた」。安全性のための蛍光色となれば、黄色は順当な選択だろう。
「それを、交通誘導員の黄色い安全ベストのような見え方ではなく、カッコいいスタイルとして成り立つようにしたい。そうすれば、何か既成概念を超えて豊かさを届けられるものになるだろう。だから、あえて質感より彩度のインパクトを重視して、イエローの彩度を極限まで高めた。従来にない色に挑戦することが、その当時のMTシリーズには大事だった」
◆ホイール色の変遷
2016年モデルのブルーイッシュグレーソリッド4のボディ色+アシッドイエローのホイールというカラーリングは、市場で好感されただけでなく、デザインのプロからも高い評価を得た。日本流行色協会が主催する「オートカラーアワード」で2017年、MTシリーズが2輪車として初めてグランプリの栄冠を獲得したのだ。
しかし2019年モデルを皮切りにアシッドイエローがラインアップから消える。「続けることも大事だが、MTシリーズでは新しさや驚きが必要なので、お客様の想定外のところに手を打ちたい。飽きられる前に、次の一手を仕込んだ」と、安田氏はその思いを語る。代わって2019年モデルで登場したのがバーミリオンという赤系の、これまた鮮烈なホイール色だ。
それから3年後の2022年モデルではホイール色にシアン(ややグリーン寄りの明るいブルー)を新採用。今回の25年モデルでそれがブルーソリッド(色相的にはピュアなブルー)に交代することになる。アシッドイエロー/バーミリオンの時代に比べて、シアン/ブルーソリッドは少し趣が異なるように思えるが…。