新NISAは不便になることも? 枯渇させない「老後資金」の使い方
資産形成の重要性が叫ばれるようになったが、人生において資産とは、「貯めて終わり」だろうか? 本来は、形成した資産をどのように使っていくかも重要なのではないだろうか。『THE21』2024年9月号では、『60代からの資産「使い切り」法』の著書がある野尻哲史氏に、資産形成を終えた後の「資産活用」の重要性を聞いた。 【図表】資産の減りをゆるやかにする方法 ※本稿は、『THE21』2024年9月号特集「老後のお金「これで安心! 」講座」より、内容を一部抜粋・再編集したものです。 ※本稿は2024年8月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。 取材・構成:林加愛
定年後に不可欠な「資産活用」の知恵
ビジネスパーソンとしてのキャリアも後半戦に入る40代。そして50代になると、「定年後」も視野に入ってきます。そのとき必要となるのが「資産活用」の知恵です。 資産活用とは、現在、読者の皆さんが行なっているであろう「資産形成」と、対をなす概念です。形成した資産を定年後にどう使うか、すなわち「取り崩し」の方法です。取り崩しというワードにネガティブなイメージを抱く方は多いでしょう。今あるお金が減っていく怖さ、さらに言えば「枯渇」の怖さが伴うからです。 しかし、ひたすら使わないでいるだけでは、しなくても良い我慢をすることになります。これから来る高齢期を、我慢して過ごしたい方はいないでしょう。ぜひ、「我慢せずに、かつ安全に」使うノウハウを知っていただきたいと思います。 前述の通り、資産形成と資産活用は対の概念です。退職時が山の頂上だとして、資産形成は山を登る局面、資産活用は下る局面です(上図)。登山と下山は、ワンセットで考えることが大事です。どう下るかを計画せずに山を登る人がいないように、皆さんも「下山ルート」を意識しつつ、残りの年月の資産形成を行ないましょう。 ここで最も重要なのが「目的」、何のために資産を形成するのかということです。 その答えは「楽しく豊かなリタイア後生活を送るため」でしょう。その目的を達成するために、退職時点でどれくらいの資産を用意しておくかが「目標」。貯蓄や投資はその「手段」にあたります。