大阪・関西万博、沖縄との相乗効果期待 那覇空港ビルの安里社長「インバウンド送り込む」
開催に伴う経済波及効果が2兆円超とされる2025年大阪・関西万博は、観光で関西にとどまらない波及が見込まれている。沖縄経済界の重鎮として知られる那覇空港ビルディングの安里(あさと)昌利社長が「アジアの玄関口の沖縄から万博に多くのインバウンド(訪日客)を送り込みたい」と強調するなど、国内の人気観光地との相乗効果が期待される。 【写真】ガス爆発が起きた万博会場で建設中のトイレ。コンクリートの床などが破損した 沖縄銀行頭取などを歴任した安里氏は産経新聞の取材に「万博については沖縄財界も大きな関心を持っている」と言及。アジア・太平洋地域は経済成長が著しく、中間所得層が急増しているとし「アジアから一番近い日本と認識されている沖縄を経由し、万博に向かうインバウンドが増えるはずだ」と語った。 沖縄県によると、令和5年度に同県を訪れた観光客は約853万人で、このうち外国人は約126万人だった。万博会場と直通のシャトルバスが運行される大阪国際(伊丹)空港と関西国際空港は那覇空港と数多くの直行便が運航されている。 安里氏は「観光県の沖縄だけがインバウンドの恩恵を受ければいいというものではない。万博を機に関西との結びつきをさらに強め、連携してインバウンド施策に取り組みたい」と述べた。 関西では万博に向け、複数の移動手段の予約や決済などを一体的に提供する次世代交通サービス「MaaS(マース)」の取り組みが活発化していると指摘。「沖縄でもシームレス(つなぎ目なし)の移動手段を充実させる」として、関西と交通システムでも連携したい考えを示した。 万博を巡っては、関連費の増額やパビリオンの準備遅れなどの課題が山積し、一部で延期・中止を主張する意見も出ているが、安里氏は「開催国として全力を挙げて突破する姿勢が大切だ。沖縄の経済界も協力できると考えているし、当初の予定通り開催してほしい」とした。(井上浩平)