スゲー強そうなトヨタ「ハイラックス」を発見! 上にはロケット弾40連発 どこが作った?
ベトナムで発見! トヨタ車の自走ロケット弾発射機
2024年12月19日よりベトナムの首都ハノイで開催された「ベトナムディフェンスエキスポ2024」に、日本車ベースのユニークな試作兵器が出展されていました。 【写真】これが「ハイラックス」に40連発ロケット弾付けたベトナム車です 展示したのはベトナム国営軍需企業「13工業・化学品」有限会社で、その車両はトヨタ製ピックアップトラック「ハイラックス」の荷台部分にロケットランチャーを搭載した、簡易自走砲というべきものです。なお、会場では「70mmロケットランチャーシステム」というシンプルな名称で呼ばれていました。 車体は一般的なツヤ有りのホワイトで、軍で使われていることを示す赤ナンバー以外は市般車と同じ仕様でした。しかし、後方の荷台部分には軍用車両のような濃い緑で塗られたロケットランチャーが搭載されており、全体を見るとどことなく、ちぐはぐな印象があります。 ランチャーは箱型で、ひとつに20発の70mmロケット弾が収納されており、それが可動式のターレットの上に2基搭載されています。発射するロケット弾は無誘導ですが、ターレットは水平360度と迎え角45度の範囲で稼働するため、射撃する方向にランチャーを向け、照準を合わせることは可能です。ロケット弾は単発と連射が可能で、40発全弾を20秒で連続発射することもできるとのことでした。 トヨタのハイラックスといえば、国内よりも海外で有名なピックアップトラックです。その普及率や堅牢さから、個人や民間企業だけでなく世界の消防・警察の行政組織や軍隊などでも利用され、それはここベトナムでも同様です。 「13工業・化学品」の担当者に、このロケットランチャーでベース車体にハイラックスを選んだ理由を聞いてみました。 担当者によると、この「70mmロケットランチャーシステム」は実戦配備された装備ではなく、試作品とのこと。ゆえに、会場で展示した1台しかまだ存在しないそうです。
やっぱりトヨタブランドは凄かった
ベトナムオリジナルの「70mmロケットランチャーシステム」、この兵器の一番の特徴はランチャー自体が縦横それぞれ1.2mしかないというコンパクトさにあります。重量も弾薬を搭載した状態で750kgです。そのため、ハイラックスのようなトラックだけでなく、軽トラサイズの小型車など様々な車両に搭載することができるそうです。 ただ、それなら、ベトナム国産の小型トラックをベース車体に使った方が、より独自性が増したのではないでしょうか。なぜ、あえて日本のトヨタ製「ハイラックス」を選んだのでしょうか。 その質問を担当者にしてみると、次のように答えてくれました。 「ピックアップトラックはオフロードでも高い機動性を発揮し、移動から発射まで速やかに行え、車両は停車からロケット発射まで3分で可能です。操作員も運転と兵器操作は1名が兼任で行え、ロケットランチャーの操作用コンソールも車内に設置されています」 そして、他メーカーのピックアップトラックではなくトヨタの「ハイラックス」を選んだ理由についても「トヨタの車は丈夫で故障も少なく評判がいいからです。トヨタはベトナム人にとって老舗の自動車会社なのです」だと即答してくれました。 トヨタは1995(平成7)年にトヨタ・モーター・ベトナム(TMV)を設立しており、翌1996(平成8)年から「カローラ」と「ハイエース」を現地で生産し始めています。「ハイラック」については2009(平成21)年以降、タイから輸入する形で販売を開始しており、2024年には8代目モデルの改良型の販売も始まっています。 ベトナム軍では数多くのトヨタ車を使用しており、今回の「ベトナムディフェンスエキスポ2024」でも会場の警備車両として「ハイラックス」や「ランドクルーザー」を多数持ち込んでいました。 近年、自動車の分野でも韓国や中国のメーカーが台頭しつつあります。なお、ベトナムにもチュオンハイやビンファストなどの現地メーカーが力を付けつつあります。しかし、軍用となると、まだまだ悪路走破性や信頼性などといった観点から、トヨタをはじめとした日本メーカーがメインのようです。 そういったことを鑑みると、やはりまだまだトヨタをはじめとした日本車は、高い評価を得ており、確固たるブランドを築いているといえるでしょう。
布留川 司(ルポライター・カメラマン)