「東大の値上げ」学生達が首を傾げる“問題の数々”。値上げの使い道など、疑問を抱く学生は多い
東京大学の学費値上げの方針がメディアで報じられ、大学が検討を明らかにしたのも、自民党が提言した日と同じ5月16日だった。値上げは文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会や、政権与党の自民党の方針に沿ったものと言えなくもない。なぜこの時期だったのか、と不審に思う学生も多い。 ■特定国立大学法人にも指定 さらに、今年10月から東京大学は、特定国立大学法人に指定された。この指定によって、大学の運営方針の決定や総長選考などに強い権限を持つ「運営方針会議」を新たに設置しなければならなくなった。会議は委員3人以上と学長で構成され、大学外部の委員を入れなくてはならないとされていて、委員は文部科学大臣の承認が必要になる。事実上の最高意思決定機関と言える。
東京大学では運営方針会議を総長、理事3人、教職員3人、学外委員7人で構成する規則を発表している。しかし、学生の代表は含まれていない。 11月28日時点では人選は不明で、東京大学に質したところ、次のような回答が返ってきた。 「運営方針委員の選考については、国立大学法人法に規定された総長選考・監察会議との協議が完了し、文部科学大臣の承認申請を行っているところです。大臣承認後、総長による委員の任命が完了しましたら、運営方針委員を公表する予定です」
学費値上げの上限は文科省の省令で決まっていて、今回東京大学が値上げした20%がその上限にあたる。しかし、国がもっと値上げができるように省令を変えれば、運営方針会議によって学費の値上げが決められていく可能性が高い。4年生の学生は不安をこう口にした。 「運営方針会議は大学の運営をより不透明にするものです。その運営方針会議によって、改革と称するものが進められていくことになるのでしょう。これから大学院に進学しようとしている中で、文系の大学院生が軽視されていくのではないかと危機感を感じています」