「東大の値上げ」学生達が首を傾げる“問題の数々”。値上げの使い道など、疑問を抱く学生は多い
その後、大学側は学費値上げの有無を11月までに決めるとしながら、夏休み中の9月10日に突然学内のシステムで値上げ案を発表し、同月24日に正式決定したのだ。 ■学費20%値上げも、使い道に疑問 値上げ後の学費は次のように決まった。学部生に関しては、2025年度の入学者から授業料を20%値上げして、現行の年額53万5800円から64万2960円とする。大学院の修士課程についても金額は同様で、2029年度の入学者から対象となる。現行52万800円の博士課程の学費は据え置く。
同時に、学生への支援の拡充も発表された。現在は世帯収入400万円以下の学部生については学費が全額免除となっているのを、2025年度からは対象を世帯年収600万円以下の日本人学生に拡大する。また、修士課程の院生についても、現行は審査のうえで免除の可否を決めていたのを、2029年度から世帯年収600万円以下の日本人学生は全額免除となる。 学生が大きな疑問を抱いているのは、値上げ分の使い道だ。最も多くの金額が充てられることになっているのが、学修支援システムの機能強化やソフト・ツールの充実。今後、年間に66億円が必要とされ、そのうち年間6.2億円分を値上げによる増収で賄うという。
第2次アンケート調査でも半数以上の学生が不要、もしくは必要性があまり感じられないとの回答をしていたと自治会の学生は説明する。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください 「何のための値上げなのか、本当に必要なのか、使途に疑問を持っている学生は多いです。学費値上げ分の投資で、どんな効果があるのかも説明されていません。施設の老朽化など使ってほしいところがあるにもかかわらず、何だかわからないことのために使われることに、絶望感すら覚えています」
自治会による第2次アンケート調査は、5月の第1次調査に比べると、回答者数も少ない。値上げに反対する割合は1割ほど減っていた。適応されるのは新入生のみで、自分たちは値上げの対象にならないと考えているからだろう。 一方で、第2次調査で回答した学生の約7割は、これから大学院修士課程への進学を決めているか、もしくは検討している学生だった。 東京大学では学部を卒業して大学院に進学する割合が高い。2022年度の卒業生では、大学院への進学が52.8%と半数以上を占めた。第2次アンケート調査の結果を見ても、学部4年間で約43万円、それに大学院の修士課程でも毎年約11万円の値上げが行われることに疑問を持っている学生が多いことがわかる。