連休明けの「会社に行きたくない」は要注意…産業医が指摘「急性のメンタル不調」の放置で起きるリスク
■多くの企業がメンタルの不調でも休めるようルール設定 そもそも休職とは、雇用契約は維持したまま、一定期間、労働の義務を免除してもらうことです。労働基準法などの法律に定められているわけではなく、あくまでもそれぞれの企業が就業規則で定めているものですが、多くの企業では、「体調不良などで働くことができないときには休みましょう」というルールを設けています。 例えば、厚生労働省が公表しているモデル就業規則には、次のような項目があります。 ---------- (休職) 第9条 労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。 ① 業務外の傷病による欠勤が「○」カ月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき=「○」年以内 ② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき=「必要な期間」 (厚生労働省「モデル就業規則令和5年7月版」より) ---------- つまり、体調不良で仕事ができないということは、就業規則上の労働契約をそもそも果たせないわけですから、しっかり休んでまずは体調を整えましょう、ということです。 ■労働者の健康は「労働安全衛生法」などで守られる 一方、企業側には、労働者の心身の健康と安全を守るために配慮しなければいけないという「安全配慮義務」が法律で課されています。 ---------- 労働契約法 第5条(労働者の安全への配慮) 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 労働安全衛生法 第3条(事業者等の責務) 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。 ---------- 健康問題を抱えている従業員がいれば、会社は安全配慮義務を果たさなければなりません。そのため、そのまま働き続ければさらに健康を害するリスクがある人には、産業医などを通して「一旦休んで、しっかり体調を整えてから戻ったほうがいいのではないですか?」と休職を提案するのです。 この安全配慮義務は、会社の規模は関係ありません。たとえ、従業員50人未満の産業医の選任が必要でない小さな会社でも、安全配慮義務を果たさなければいけないことは同じです。 ですから、どんな会社に勤めている人も、健康上のリスクを抱えているときには休む権利があり、会社は休職を認めて健康を守る義務があるのです。