世界初!「おむつファッションショー」開催の狙い。おむつは白だけじゃない!企画が始動した背景
■万博は千載一遇のチャンス そして、この「おむつ=白」のイメージをドラスティックに変えるために選んだ場が、ファッションショーだった。タイミングよく大阪・関西万博も開かれる。「千載一遇のチャンス。まさにあの場で日本のおむつの機能の高さと、ファッション性を世界に発信したい」。平林さんはそう強く想った。 ショーがどんな感じになるのか。全体の構想はまだシークレットだが、「テーマは“クールで、ロックで、モード”」だという。
「近未来というよりも、もう少し先の未来のおむつを見せたい。それによって、いまおむつを使っていない人たちにも、ポジティブなイメージを持ってもらいたい」(平林さん) このO-MU-TSUプロジェクトを成功させるために欠かせないのが、おむつメーカーの協力だ。「始めは渋っていた」(平林さん)というメーカーも、いまでは全面的に協力してくれている。おむつを含む衛生材料の業界団体である日本衛生材料工業連合会の後援も得られた。
現在は、花王や光洋、白十字、大王製紙、日本製紙、日本製紙クレシア、ユニ・チャーム、リブドゥコーポレーション、ワコールなどがショーに向けて、自社の持つノウハウを生かした、これまでにない新しいおむつ制作を始めている。機能面については矢野雷太医師(大腸肛門病専門医)による監修で、医療的な側面からのバックアップをはかる。 ファッションショーに出るモデルは、公募で集めた。看護師や理学療法士などの医療関係者から、モデルを専門にするプロまで、多くの人からの応募があったそうだ。
平林さんが目指すのは、次世代のおむつ。負のイメージを払拭し、排泄に関する問題を抱えている人だけでなく、もっと幅広い人たちにTPOに応じておむつを使ってもらう。 誰でも歳をとれば、あるいは何らかの病気になれば、世話になるおむつ。ただ、冒頭の車いすユーザーの女子のように、おむつを使っていることを人に言いたくないし、見られたくない人もいる。 ■おむつをネガティブな存在から変える しかし、もし下着を選ぶように気分に合ったおむつを選ぶことができれば、少なくともそこの部分ではネガティブに考えなくてもすむ。旅行にも行けるし、人にも見せることができる。新しい下着を買いに行くような感覚で、おむつを買いに行ける日が来るかもしれない。