「えぐい」「やばい」「すごい」言葉にも“世代交代”がある!全部ほぼ同じ意味だが“発展段階”が異なる。言語学者が解説
麻雀用語は、連用形による名詞の巣窟です。「あがり」「当たり」「流れ」「鳴き」「待ち」「決め打ち」「引っかけ」「振り込み」「ツモ切り」「対子落とし」「全突っ張り」など、こうした言葉がなければ麻雀はできないと思うほどです。 「引きが強い」の「引き」もまた麻雀用語ですが、「押しが強い」の「押し」は性格の形容です。 しかし、「推し」となると意味が違います。応援したい対象○○のことを以前は「○○推し」と言っていたものが、単独で使用されるようになったものです。人に勧めるものを「お勧め」と言いますので、「推し」自体が単独使用されても、理屈としてはおかしくないのですが、「推し」にはサブカルの香りがします。そこには、「萌え」や「映え」と共通する感覚があるように感じられます。
文化庁の2022年度の「国語に関する世論調査」によれば、全体の49.8%が使う言葉、49.2%が使わない言葉だとしており、拮抗していました。おそらく拙著が出版される時点では、使う派が過半数を占めているのではないでしょうか。 ■「やばい」から「えぐい」へ ➖➖姉妹でスマホを見ている。 長女:うわ、えっぐ……。 三女:本当だ。すごすぎ。 父:何がえぐいんだ? 長女:お父さん、この動画見てよ。この選手さっきから2打席連続でホームラン打ってるの。しかも2打席目はバックスクリーン直撃の弾丸ホームラン。推定飛距離、130メートルだってさ。
父:それはすごいな。それを「えぐい」って言うのか? 長女:うん、言うよ。 父:ああ、「やばい」と同じでいい意味もあるんだな。お父さんは、「えぐい」っていうと悪いイメージが先行するんだが。 長女:そうだね。確かに単純なほめ言葉だけではないけどね。「えぐい」は私的には「やばい」の一段階上を行くと思ってるよ。 三女:うちは若干引くくらいの神業とか見せられると「えぐい」って感じる。 父:たとえば? 三女:大谷翔平の活躍ぶり!