お家芸がお荷物に「液晶のシャープ」が衰退した真因、国内でのテレビ向け液晶パネル生産ついに撤退
苦労の末、シャープを創業し、その後も、何度も挫折を経験した早川徳次氏は、晩年、講演会場で色紙にサインを求められたとき、必ず、こう書いた。 「なにくそ」 2016年にシャープを買収した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(=フォックスコングループ)は、次世代通信や人工知能(AI)などの分野で協業し、シャープの再建を支援していくとしている。 2023年4月17日、幕張事業所(千葉市美浜区)で「111周年記念イベント」を開催し、創業家の早川家の人々を招待した。「早川徳次氏の創業精神を尊重している」と強調していた。シャープは自信過剰バイアスが解け、いたずらに規模のみを追わない「なにくそ」の精神で復活なるか。まだ、建設的な具体的戦略は見えてこない。
長田 貴仁 :経営学者、経営評論家