カナダの先住民ストーリーを分かち合う観光施設を取材した、そこでしかできない交流と体験、文化を知るアクティビティ
メイティの音楽にヨーロッパと先住民のルーツを感じる
最後の夕食時には、メイティのギターとフィドル(バイオリン)の演奏と手拍子とタップの音とともに激しく回りながら踊るメイティジガーが披露された。ケルト音楽を彷彿させる演奏に合わせてサッシュを身に付けモカシンを履いて踊る姿に、まさに先住民とヨーロッパの文化の融合が感じられた。ちょうど太陽フレアが活発だった日のため、深夜の10分間オーロラも出現した。専門家の調べではここでオーロラが出現する可能性があるのは8月末から5月あたまだという。地理的にオーロラが見られるのは非常に稀だが、星空環境は1年中良好だ。 3日目の最終日の朝、スタッフを囲み、参加者からは参加の思いが語られた。「歴史の別の側面を見られた」「静けさと自然がよかった」「情報として知っていたが話を聞き体験するのでは全く違う」「忙しさにかまけていたが、周りの人をもっと大事にしたい」「先住民について知っているつもりだったがわかっていなかった」など各人の感じたことが共有された。 最後に、1999年からメイティの文化を伝えるための場所を探し続け、2020年に開業に辿り着いたCEOの ホワニータ・マロワ氏が思いを述べた。「私たちがここにいるのはメイティの物語を分かち合うため。ヨーロッパの入植者と先住民との間に進んで橋を架けてきた私たちはツアーガイドの元祖でもあり、この特別な場所で世界からの訪問者との関係を築くことを楽しみにしている」。 この2泊3日ツアー「Beavers, Bison, and People: Our Promise to Wahkotowin」のWahkotowin(ワコトウィン)はクリーの言葉で直訳はKinship、親族という意味だが、もっと広く、あらゆるものとのつながりや関係を表すという。「自然も人間もすべてのものは互いに関係し合い、支え合っているからこそ、尊重し、責任を持って大切にしていくこと」。これがメイティの人たちの変わらぬ教えとなっている。 取材協力:カナダ観光局 取材・記事 平山喜代江
トラベルボイス編集部