【学生長距離Close-upインタビュー】春先から好調維持する東洋大・西村真周「チームに勢いをつけられる選手に」
大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。40回目は、東洋大の西村真周(3年)をピックアップする。 東洋大が見せ場を作って2位通過 1年生・松井海斗が1組1着でチームに勢い/全日本大学駅伝関東選考会 1、2年時は今ひとつ結果を残せなかったが、昨年のとある駅伝をきっかけに自らを反省。今年は春先から各種大会で結果を残しています。 ここまでの歩みや陸上を始めたきっかけなどを振り返りつつ、今季の目標やチームへの思いなどを聞いた。
対抗戦で強烈なスパート
春先から存在感を示している。“鉄紺軍団”の西村真周(3年)だ。 まずは4月7日の関東私学七大学対抗戦、5000m。留学生のスティーブン・レマイヤン(駿河台大2)や城西大の主将を務める平林樹(4年)らと先頭争いを繰り広げる。「ラストスパートは自信があったので、絶対勝てると思っていました。留学生にも負けない自信がありました」。 残り300mで強烈なスパートを仕掛けると、レマイヤンと平林は対応できず。13分50秒46の大会新記録で快勝し、大会最優秀選手にも選ばれた。 「大学に入って、なかなか勝ち切るレースがありませんでした。春先に大会記録で優勝できたことは、今年1年を過ごす上ですごく良かったです」 幸先の良いスタートを切ると、2年前は23位に終わっていた5月の関東インカレ1部5000mでも初入賞。しかし、「なかなか前に出られず、中盤で走ってしまいました」と反省するように、やや積極性を欠き、1年の松井海斗(5位)に先着を許している。 「練習では自分が勝てていましたが、試合で負けてしまうと1番の負け。入賞はできましたが、うれしくなかったというか、本当に悔しかったです」。先輩としてのプライドをのぞかせた。
大迫傑の走りに衝撃
競技を始めたのは中学1年から。小学校の頃は空手やボクシングをやっていたいとこの影響で、空手に傾注。別のいとこが中学で陸上部に所属しており、「陸上部に入るなら、ユニフォームなど全てもらえる」と声をかけられた。加えて、仲の良かった友達が入部したこともあり、中学から陸上の道へ進んだ。 スピードが全然なかったので、短距離はできなかったです。跳躍へのあこがれや、投てきで投げてみたい気持ちもありませんでした」。自然と長距離から競技人生が始まった。 当時はものすごく競技が好きというわけではなかったが、2年時の2018年2月に地元・福岡で開かれた日本選手権クロスカントリーで、優勝を飾った大迫傑(Nike)の走りを目撃する。「他の選手と違うと感じましたし、衝撃的ですごく覚えています」。 中学2年までは3000mで10分を超えていたが、3年時の18年に急成長。9分17秒77まで自己記録を伸ばし、高校進学直前の3月末には9分05秒78を残し、自由ケ丘高に進学した。 高校では1年時から初の大舞台となる全国高校駅伝を経験。アンカーで区間2位(14分16秒)と好走してチームの8位入賞に貢献した。「入賞しなければいけないという気持ちよりもワクワクの方が大きかったです。自分としても驚きましたし、これぐらいで走れるのだという喜びを感じました」。 3年時にはインターハイに5000m(13位)で出場し、自身2度目の都大路は1区(区間16位)を経験した。5000mで13分55秒92まで記録を伸ばし、「かなり大学選びは迷いましたが、『ここに来れば自分も強くなれる』という直感で最後は選びました」。東洋大への進学を決めた。 慣れない寮生活に加え、「1、2年生の時は慢心があったり、落ち着きがなかったりしました」と振り返る。 ターニングポイントは昨年11月の全日本大学駅伝。初の伊勢路は7区を任されたが、区間18位に沈んだ。「この先も一番記憶に残るレースになると思います。そこから自分の気持ちや意識が少しずつ変わり始めました」。