大河ドラマで「お尻」は絶対に許さない! 年始から大騒ぎのお気持ちヤクザに怯まないNHKの覚悟
頼れるボス
今回の放送に関しては、NHK内部でも相当な議論・検討のうえ、覚悟を持ってあのシーンを送り出したはずです。クレームも想定内でしょう。それでもあのシーンを残したのは、 「お尻にクレームつける人たちは相手にしない」 つまりNHKといえども、表現の自由においては全員を等しく顧客にできない、という意思決定がなされ、事前に方針を一本化できたからだと思われます。実はこれ、凄く重要なポイントなんです。 ご存じの通り、ここ数年は企業広報・CM・テレビ等の制作現場がかなり保守的になっています。上層部の「ネット炎上を起こすな」圧力が現場を萎縮させているんですが、実は企業って、落ち度が無くてもネット炎上するし「第三者が勝手に炎上させる」ことすら可能です。まったく落ち度が無くても、です。 これまでも、ナナメウエからの言いがかりで、起きてもいない炎上を起こされ、不要な謝罪に追い込まれた企業がたくさんありました。 そんな状況なのに、炎上=すべて悪いこと=起こすな、と定義してしまうと、その瞬間に表現が止まってしまうんですね。つまりは表現の自由の「自殺」です。これはとんでもなく由々しき事態だし、是非とも避けたいんですが、その為に必要なのは、 「この表現にはクレームが入りそうだけど、我々は問題ないと考えているよね、じゃあ、どう対処するか先に決めておこうぜ」 という事前の意思決定、コレに尽きるのです。もちろん現場だけでは無理ですよ。理解のあるボスが「あとは任せろ」と現場の背中を押してくれる、これが必要であり必須要件です。 違法性のない表現、単なる好き、嫌いを「正しい」「間違い」に変換して騒ぎ立て、勝手に燃やす、そんなお気持ちヤクザたちと戦えるのは、今や柔軟な思考を持てる企業のボスたちだけです。 企業の表現活動は、今や萎縮の崖を転がり落ち、ハッキリ言ってもう瀬戸際でしょう。ボスの皆さんには是非お気持ちヤクザたちと戦ってほしいのです。皆さんにかかっています……ホントに。 最後になりましたが、読者の皆さま、本年もよろしくお願い致します。 Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員) ※本記事のタイトル・画像はFORZA STYLE編集部によるものです。
小木曽 健