「学校の勉強とは違う」…コカ・コーラを日本一売った男が実践する「売れる営業」の神髄
「一日30分、本を読めばいい」
「いいか、大切なことはその棒を支える知識の裾野をしっかりとさせることだ。周りからその棒を支えるような、言ってみれば山のようなかたちにすることだ。専門的な知識はあったに越したことはないが、まずはその脇を固めていかないと、どんなに棒を高く伸ばしても横から突っつかれると簡単に倒れてしまう。そのためには多くの本を読むといい。学校の勉強とは違うぞ。焦らなくていい。一日30分、本を読めばいい。30分だけでいいんだぞ」 本当かなと思いながらもまずは試してみることにしました。本音は30分くらいなら自分でもできそうだと思っただけです。とは言っても、いったい何から読めばいいのかわかりません。早速、書店に向かいますが、「これであなたも最強の営業マン」「連戦連勝の営業ノウハウ」といった類いのタイトルが並ぶ棚の前で、困惑してしまいます。世の中、そんなに簡単にはいかないよなぁと、弱気なもう一人の自分が囁きます。 そこで、手始めに、ちょっと世間で話題になったものや面白そうなタイトルの文庫本からスタートです。30分だけなのでちょっとした空き時間を充てればそれほど大変ではありません。一般的なテレビのアニメ番組の放送時間と同じくらいの長さです。
ちょっとした読書習慣がもたらした効果
「習慣を味方につける」という言葉がありますが、人間は習慣化してしまうと始める前はとても無理だと思っていても案外やれるものです。やがて読む本の種類も変わり、読書に充てる時間が徐々に増えていきます。 こうして読書を続けていくと、少しずつですが、取引先とも多少踏み込んだ話ができるようになります。 最も強く感じたのは、相手は何を言いたいのだろうか、ポイントは何だろうかと考えながら取引先の話を聞けるようになったことです。本を読んで知識を得るのはもちろんですが、それよりも文章を読むことで知らず知らずのうちに話の主旨をつかむコツのようなものが身に付いていたのです。じつはこれが営業に大きく役立ちました。相手の話にきちんと耳を傾け、相手の伝えたいポイントに応えるという基本の基を身に付けることができたからです。この小さな習慣はいまでも私の強力な味方になっています。