FIAからさらに幹部2名が辞任。離脱が相次ぎ、ビン・スライエム会長は加盟クラブのための組織改善と安定化に直面
FIAの幹部である広報担当ディレクターのルーク・スキッパーと、モビリティ担当事務局長のジェイコブ・バングスガードが辞任した。両名とも、辞任の理由として他の関心事の追求を挙げているが、特にFIA会長モハメド・ビン・スライエムをめぐる最近の論争を考えると、辞任のタイミングには疑問が残る。 【写真】2024年F1第18戦シンガポールGP木曜日 FIA会見 マックス・フェルスタッペン(レッドブル) 2022年初頭からFIAの指揮を取り、波乱に満ちた在任期間を過ごしてきたアラブ首長国連邦出身のビン・スライエムは、F1第18戦シンガポールGPを前に、特にF1のドライバーを対象に、F1での談話や罵り言葉を取り締まると発表し、最近ふたたび注目を集めている。FIAの新たな制限ポリシーはシンガポールで速やかに適用され、木曜日の記者会見でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がFワードを使用したため、オフィシャルはフェルスタッペンに1日の社会貢献活動を行うよう制裁を科した。 また、ビン・スライエムはイギリスメディアを批判し、報道によって不当に“有罪扱い”を受けたと主張したことから、問題となっている件について具体的な言及はなかったものの、論争に拍車がかかっている。 スキッパーとバングスガードの辞任は、1年にわたって続いているFIAの人材離脱の一部だ。昨冬、スポーティングディレクターのスティーブ・ニールセンとシングルシーター担当テクニカルディレクターのティム・ゴスが辞任し、ニールセンはフォーミュラワン・マネジメント(FOM)に復帰、ゴスはRBにチーフテクニカルオフィサーとして移籍した。 FIAの『女性のモータースポーツ活動推進委員会』責任者であるデボラ・マイヤーも同時期に辞任している。今年2月には、FIAを代表してコンコルド協定の交渉に携わったガバナンスおよび規制担当ディレクターのピエール・ケトレールと、商業法務責任者のエドワード・フロイドが辞任した。 また5月には、2022年11月にビン・スライエムによって任命されたFIA初のCEOであるナタリー・ロビンがその職を辞しており、FIAの上級指導部の安定性に対する懸念がさらに高まった。 一連の辞任により、ビン・スライエム会長の任期におけるFIA内部の動向に疑念が生じている。改革を推進し、組織を近代化しようとする彼の試みは、彼の公での発言やリーダーシップのアプローチをめぐる論争のせいで目立たなくなっている。批評家のなかには、彼の率直なスタイルが主要人材の流出につながったのではないかと主張する者もいるが、一方で、これは広範囲にわたる組織再編の取り組みの一環だと見る者もいる。 ビン・スライエムはこの困難にもかかわらず、自身の課題に引き続き集中しており、FIAのガバナンスを改善して、加盟クラブのために活動するという決意を頻繁に繰り返し表明している。しかし、スキッパーやバングスガードを含む多くの幹部が辞職するなか、ビン・スライエムは組織の安定化と、自身のリーダーシップスタイルをめぐる懸念への対処を求める圧力に直面している。 [オートスポーツweb 2024年10月07日]