日本のピッツァの概念を変える新たな挑戦! 才能あふれる若きピッツァイオーロの展望に迫る
本田:そういった話をもっといっぱいした方がいい。学んだことや、そこからこういうふうにやりたいんだということを伝えた方がいい。
冨永:ピッツァ作りには粉へのこだわりもあると思うんですが、最初の師匠からは、逆に、そこが重要じゃないというか、生地を作っていくプロセスがあるから、結果としておいしい生地ができていることがベースの粉よりも大切だと学びました。イタリアでは、ケータリングというか、個人の家や別荘に出向いて生地を焼くということがあります。生地をあらかじめ準備して持っていくんですが、窯などはそこにあるものを使い、食材も自身でその近くで調達します。そこでは、そういった店と環境が違う中でどう対応するかを考えることが、ピッツァイオーロとして必要なんだと学びました。ある時知り合い経由で、子ども誕生会があるから焼いてくれという依頼があって。初めて一人でピッツァイオーロとして対応したことがありました。その時、依頼主のイタリア人の方々がめちゃくちゃ喜んでくれて。イタリアの人が自分のピッツァを認めてくれた、ピッツァイオーロとして認めてくれたというのが、本当にうれしかったですね。イタリアに来て学んでよかった、天職としてやっていきたいと思いましたし、自信にもつながりました。 本田:そういうとこだよ、そういうのを伝えたいね。
冨永:メニューに関しては、いろいろアドバイスをもらいながら、多少わかりやすくなるように、少しずつ構成を変えたいなと思っています。生地自体の進化もそうですけど、ピッツァの上で自分の味やクリエイションなどを表現していきたい。日本にフィーチャーしていても、自分にとってのイタリアはピッツァなので、ピッツァで表現することはすべてイタリアであるという確信を持っています。今、メニューの横に副題的に都市名を書いているんですが、その名前が日本のさまざまな地域や季節をフィーチャーして、今後はいろいろなピザを表現していきたいですね。そして、それをデグスタツィオーネとして楽しめる形に落とし込んでいければというところです。 本田:お客さんにアピールしたいことは何かある? 冨永:とりあえずランチからでいいので、まずはピッツァ・マルゲリータを食べていただいて、こんな味が北千住で楽しめるんだということを知ってもらいたいですね。そこからディナーにつなげて、ピッツァを楽しんでもらって。ナチュラルワインも置いているんで、ピッツァとワインを浸透させていきたい。そういったことを楽しんでもらえる場所を提供していきたいと思います。