日本のピッツァの概念を変える新たな挑戦! 才能あふれる若きピッツァイオーロの展望に迫る
本田:Tommyがコース作る時に自分の思いとか、哲学とかさ、こういうふうにしたいから、このコースにしたというのはあるの? お客さんにどういうふうに感じてほしいかとか。
冨永:コースにしていることで、若干ハードルが高く感じられてしまっているかなとは思います。ただ、いろんなピッツァの楽しさとか可能性を感じていただきたいですね。高加水の生地だったり、薄く焼いてパリッとしたせんべいみたいな生地だったり。小麦だけでなく形も味も変えています。日本ではピッツァというと、具材に注目されがちで、トッピングやチーズで味を楽しんでいる部分が大きいと思います。うちの店では生地から楽しんでもらいたい。生地の縁を残しがちだと思うんですが、そこがおいしいんだよということを伝えたいし、楽しんでいただきたいですね。
本田:コースにした一番の目的は? 日本ではさ、ピッツェリアでコースをやっているとこってまだ少ないじゃん。わかりやすくマルゲリータとかマリナーラとか。そういうところがほとんどだと思うんだけど、あえてコースにした理由は何かあるの? チャレンジだと思うんだよね。日本でこれを理解してもらうのがさ。価格的なものもそうだし。
冨永:最初はイタリアで受けた自分の衝撃、今まで見たことない、日本でもまだやってないことを自分の店でやってみたいという思いがありました。他の店と同じことをしていても仕方がないというのもあって。あとはやっぱり日本人ならではの、いろんなものをちょっとずつ食べたいという願望が、このスタイルでは叶えられるとも考えました。いずれ受け入れてもらったら、こんなに楽しめるんだということを知ってもらえるかなと。コースにはマルゲリータといった定番を入れていくだけでなく、日本の食材を使って、より独自性を出していきたいですね。日本にいるのにイタリアだけにこだわる理由はないわけですから。日本で良い食材に出会える機会があったら、それをどう生かせるかを楽しみたいですね。お客様にもいろんな食材を知ってもらえる機会を増やして、より良い食材を提供できる場所になって、少しでも生産者の方たちに喜んでもらえればいいですね。そうすれば食の豊かさや文化も育まれていくんじゃないかという思いがあるので、そういった挑戦をやっていきたいです。 本田:例えば、どういうふうに? 冨永:ピッツァにレンコンをトッピングした時、東京ではあまり知られていない岩国れんこんを使いました。岩国には母方の実家があるんです。自分を知ってもらう意味を込めつつ、その地域にフォーカスして選んだ食材です。そのほか、広島市出身なので、スポットで広島の三良坂という地域にあるモッツァレラを使ってみたり。あとは、食後酒でリモンチェッロを出してるんですけど、そのお酒は、しまなみ海道にある大三島産レモンで造られています。そういったものを、これからも使っていきたいと思っています。