ハリスを大統領に選ぶべき理由。男性の危機を救えるのは、逆説的に彼女しかいない
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 【画像】ハリスを大統領に選ぶべき理由。男性の危機を救えるのは、逆説的に彼女しかいない
勝敗を分ける浮動票
「もし相手が勝てば米国は終わる」と両陣営は警告しあっているが、これは明らかに大げさな主張だ。歴史を見れば、米国はもっと深刻な危機も乗り越えてきた国なのだから。 どの選挙でも、勝者が誰になるかで、特定の人々の暮らしは大きく変わる。この選挙の意味について、あなたの考えが私と違っても構わない。結局のところ、この国もわれわれも、どちらに転んでも道を見つけていける。 だが、わたしが最近特に注目しているのは、若い男性たちの幸福──より正確には、その欠如──だ。未曽有の好景気の中で、米国の若い男性たちは取り残されている。そんな彼らにとって、カマラ・ハリスとティム・ウォルツこそが最良の道を示していると考える。 この選挙は二つの関連する問題を問うものだ。あるいは、そうあるべきだ。それは女性の身体の自己決定権と、米国における男性の未来である。 選挙の決着点は意外なところにある。激戦州ではなく、むしろ数個の激戦郡で勝敗が決まりそうだ。そしてそこで、若い男性たちの票が決定的な意味を持つ可能性がある。実際、現代の米国で、若い男性ほど急速に地位を失った層は他にない。 高齢層は政党への忠誠度が高いが、若い男性たちはそうではない。むしろ、説得に応じる可能性が高い。米民主党系のシンクタンク「データ・フォー・プログレス」の調査は、このことを裏付けている。スイング・ボーター(浮動票)は若年層に集中しており、その43%が45歳未満なのだ。 さらにタフツ大学のサークルの調査※1によれば、若い男性有権者を動かすのは経済問題だという。インフレや雇用の安定性といった問題だ。そして、これらは候補者が選挙戦で立場を変えやすい問題でもある。