「ズブズブじゃん」電動キックボード・Luup社監査役に元警視総監が就任 “天下り”批判殺到について聞いた!「ご指摘のことに関しては…」
電動キックボード事故、半数超が20代
警察庁は9月、2023年7月から24年6月までの1年間で、電動キックボードの交通違反の検挙件数が2万5156件に上ったと発表した。 もっとも多かったのは、歩道を走行するなどの「通行区分違反」で、半数超(1万3842件)を占めた。その次が信号無視で、約3割(7725件)となった。 月間の検挙数も改正法の施行後に右肩上がりに伸びており、2023年7月には月間405件だった検挙数は、2024年5月には3000件を超えている。 事故件数は、1年間で219件。死者はゼロだが、負傷者数は226人。年齢別だと、20歳代が半数超だ。 マナーの悪いユーザーについて指摘する声は、後を絶たない。巷では下記のようなSNSでの書き込みが散見される。 〈警察とのコネがあるから、悪質なLUUP利用者が摘発されないのでは〉 〈安全性の強化ではなく、弱体化の間違いでは?〉 このタイミングでの「警視総監の監査役就任」は、火に油を注いでしまったような格好だ。
Luupは「ご指摘は事実に基づかないこと」
実のところ、警察官の“天下り先”として、交通関係の企業は珍しくない。 「自動車学校をはじめとして、トヨタやヤナセなどのクルマ関連企業、JR東日本などの鉄道会社への天下りも過去にはあります」(同前) 一方で、警察の“天下り”によって生まれた利権が問題視されたこともある。 「その代表例が『パチンコ利権』です。パチンコと警察の“蜜月関係”は度々取り沙汰されてきました。実際、元警視総監が大手パチスロ機メーカーの顧問になったり、元警察庁長官がパチンコ台の機械の許認可をする一般社団法人の会長を務めていたこともある。こうした天下りによって、パチンコ特有の換金システムである“三店方式”が黙認されてきたのでは、という指摘もあります」(同前) 今回の人事について、樋口氏に直接話を聞こうと自宅を訪れたが、「対応しません」と記者の名刺を受け取ることもなかった。 Luup広報に質問状を送ると、概ねこう回答した。 ── 樋口氏が監査役に就任した経緯は。 「(LUUPの)利用者は増加傾向にあり、それに伴い交通違反や事故件数も増えています。こういった状況を踏まえて、交通安全やガバナンスなどを含む多くのご経験と知見を有する樋口氏に監査役を引き受けていただきました。交通ルールの周知徹底と安全対策の充実強化についてご指導いただきたいと考えております」 ── SNS上では「警察機関との癒着により、LUUPの取り締まりが杜撰になるのでは」「安全対策が遅れるのではないか」との声もあるが、どう受け止めているか。 「ご指摘のことに関しては事実に基づかないことであり、樋口監査役には交通ルールの周知徹底と安全対策の充実強化についてご指導いただきたいと考えております」 LUUPが掲げるミッションは「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」。世論を味方にして次世代のインフラになれるのか、今がLUUPの正念場だ。
「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル