【闘病】看護師なのに「バセドウ病」に気づけず… 日々痩せていくのも症状だった
バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰分泌されることによって発症し、若い女性に頻度が高い疾患です。バセドウ病の症状は一見病気とは思えないものが多く、闘病者の押川映子さんも初期症状では気付けなかったと言います。現在、バセドウ病をコントロールしながら子育ても頑張っている押川さんの体験談からバセドウ病について理解を深め、早期発見につながる知識を身に付けましょう。 【イラスト解説】バセドウ病の症状や原因、治療方法 & 押川さんのほかの写真を見る ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
年齢のせいだと思っていた異変はバセドウ病が原因だった
編集部: はじめにバセドウ病について教えていただけますか? 押川さん: バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、眼球突出や手の震え、動悸、疲労感などの症状が現れる病気です。20~30代の若い女性が発症しやすいといわれています。とはいえ、私は仕事もあって疲労感を日常的に感じやすく、症状と認識するのが難しかったです。複数の症状を併せ持っていても、私自身が無自覚だったことを思うと、同様に気付けない方もいる病気なのかなと思います。また、職員100名ほどの病院で働いていた時、その中でバセドウ病を罹患している人は6名いました。そう考えると、比較的患者数の多い病気なのだと再認識できました。 編集部: 押川さんがバセドウ病と診断されるまでの経緯も教えていただけますか? 押川さん: 2009年5月頃に当時付き合っていた方と結婚したのですが、その前後から疲れやすさと頻繁に訪れる空腹感、食べても太らずイライラしやすい状態が続いていました。当時は30歳目前だったこともあり、年齢から来るものだと思い込んでいました。 編集部: すぐにバセドウ病を疑うような症状はなかったわけですね。 押川さん: はい。それから1年ほど経ち、自然妊娠しないことが気になり、同僚も通っていた不妊治療外来を軽い気持ちで受診しました。しかし、初診時の採血検査で重度のバセドウ病と指摘され、不妊もバセドウ病による可能性が高いと説明を受けました。不妊治療を始めるにはバセドウ病のコントロールが必要と伝えられたため、2010年6月頃から内分泌内科を受診して治療を始めたという流れです。看護師の身でありながら、自分が病気を発症するという考えがなかったため、手指の振戦(※)や過度の空腹感、日々痩せていく体がバセドウ病の症状だとは想像もしていませんでした。 ※振戦…ふるえのこと 編集部: 自覚できる症状ではなかったため、気付かなかったのですね。 押川さん: 内分泌内科に受診した際、自分では振戦もないと思っていたのですが、医師からは「しっかり振戦あるよ」と呆れられたのをはっきり覚えています。 編集部: 医師からはどのように治療をしていくと説明されたのですか? 押川さん: 治療方法は手術・放射線・内服の3種類があると説明されました。一般的なのは内服で、「妊娠希望を考えると一番有効なのも内服だと思います」と提案を受けました。内服治療はメルカゾールという薬を使用し、採血結果に合わせて適宜減量または増量していき、長期的な服用が必要とのことでした。 編集部: その後無事にお子さんを出産したそうですが、妊娠中の治療はどのように行ったのでしょうか? 押川さん: 内服薬のメルカゾールは副作用で胎児奇形のリスクがあったため、妊娠中はプロパジールという薬に変更しました。出産後しばらくは甲状腺ホルモン値が落ち着いていて、投薬せずに過ごしていましたが、9カ月目から数値の悪化がありました。ただ、メルカゾールに戻すと授乳に影響するとのことで、予定より大幅に早く断乳せざるを得ませんでした。 編集部: バセドウ病の方が妊娠・出産するにあたって、注意すべき点は何でしょうか? 押川さん: 私の場合は不妊外来、バセドウ病発覚、妊娠計画の順序でしたから、既にバセドウ病で治療している方は注意してほしいです。バセドウ病は女性のライフステージに大きな影響を与える病気であると今は強く思います。