【闘病】看護師なのに「バセドウ病」に気づけず… 日々痩せていくのも症状だった
「赤ちゃんがほしい」と願う気持ちが心の支えに
編集部: バセドウ病と判明した時の心境についても教えていただけますか? 押川さん: 正直な気持ちは「この疲労感や食べても太らない感じは、30歳の洗礼じゃなかったの? だったらもっと早く受診すればよかった」と思いました。それほど思いもよらないことでした。 編集部: 診断を受けてから生活にはどのような変化があったのでしょうか? 押川さん: これまでは大きな病気の経験がなく、服薬も花粉症の時期のみだったため、連日の内服薬管理に意外と苦労しました。看護師は患者さんのケアには長けていますが、自己管理は上手じゃないことも多くて、私自身もその1人でした。また、薬の効果と拮抗してしまうため、海藻系の過剰摂取はだめとのことで、気を付けていました。 編集部: 治療中の心の支えになったものは何でしょうか? 押川さん: 妊娠から現在に至るまでは、きちんと内服を続けないと悪化すること、ストレスが溜まって悪化すると怖いという思いがありました。現在はシングルマザーなので、「子どもとの生活のためにもちゃんとコントロールしよう」という気持ちが大きな支えになっています。 編集部: 現在の体調や生活についても教えていただけますか? 押川さん: 現在は1日おきに1回メルカゾールを内服するだけです。日常生活には特に問題もなく、今はしっかりコントロールがついていてストレスもない生活を送っており、症状もありません。ただし、1日おきに内服するのは意外と飲み忘れやすいので、薬の外装に内服予定日を書いて、忘れないように管理しています。 編集部: 病気が発覚する前のご自分にアドバイスできるとしたら、何を伝えたいですか? 押川さん: 「若いから病気なんて関係ないなんて思い込みはやめて」ということです。
一生付き合う病気だからこそ仲良くしていくことが大切
編集部: バセドウ病について意識していない人、病気を知らない人に伝えたいことはありますか? 押川さん: 女性の割合が高いバセドウ病ですが、男性でも私の身近に罹患した方がいました。この病気はイライラという症状もあり、場合によっては精神疾患と間違われることもあるので気を付けてほしいです。 編集部: 押川さんが医療従事者に期待すること、伝えたいことはありますか? 押川さん: 私自身も医療従事者ですが、今回自分の病気に気付けなかったことはとても悔やみました。受診先は発症から13年で転居もあったため、4箇所になりました。ですが、どの病院でもみなさんが丁寧に対応していただき、困った覚えはなく感謝しています。 編集部: 最後に本記事の読者向けにメッセージをお願いできますか? 押川さん: 私の経験しているバセドウ病は、寛解(病状が治まること)が見込めますが、再発も多い病気です。そのため、発覚から生涯にわたり仲良く付き合う必要があります。とはいえ、コントロールがしっかりつけば、日常生活に大きな支障はありません。このような病気はほかにもたくさんあります。目の前の人が目に見える障害や病気がなくても、辛そうにしていたら手を差し伸べるのが当たり前の世の中になってほしいと思っています。