日大の第三者委が最終報告(全文2)田中理事長は説明責任を果たすべき
田中理事長はアメフト部のガバナンス機能不全を放置
3、主要幹部のガバナンスや事後対応における問題点について。内田氏について。内田氏は中間報告書記載のとおり、本件試合後、間もない段階では自己の責任を口にしながら、その後は自己の指示を否定し、選手の認識に問題があったとする不合理な主張を続けるなど、責任逃れの態度に終始していた。結果として、日大としての対応の遅れや不適切な対応につながり、事態をより深刻化した。 大塚学長について。大塚学長は教学の第一義的責任者として、また保体審の会長として、責任感、当事者意識に乏しく、前記のとおり内田氏による同審議会支配、これにより必然的に生じる日大アメフト部に対するガバナンスの機能不全を放置していた。また、同学長は事後対応においても積極的に役割をほとんど果たそうとしなかった。 田中理事長について。田中理事長は学校法人の最高責任者であり、重要な人事および配置においても事実上、絶大な権限と影響力を有していたが、アメフト部に対するガバナンスの機能不全を放置していた。また、危機管理の責任者でありながら適切な危機対応を行わず、その結果、日大として適切な事後対応ができず、むしろ不手際が連続したため社会からの批判を増幅させ、日大のブランドイメージが大きく損なわれた。さらに本件が全学を巻き込んだ大きな不祥事に発展し、日大としての責任ある対応を求められる状況になった以上、自ら十分な説明を尽くすべきところ、今なお、公式な場に姿を見せず、外部発信も行っておらず、学校法人理事長としての説明責任も果たしていない。 4、本件の影響と、今後、私立大学等経常費補助金の減額も懸念される上、日大の信頼低下はオープンキャンパスの来場者数の減少にも表れており、入学試験受験者数の減少につながる可能性もあり、財務に深刻なダメージを与えることも憂慮される。
第三者委員会からの再発防止への提言
5、当委員会からの再発防止に関する提言。1、日大アメフト部の再生のために、あ、監督・コーチ等の指導者の質を確保するための措置。指導者の質の維持向上を担保するための方策。再任手続き基準の明確化。適切なモニタリングの方法として新たな評価制度の導入。選手からの相談窓口の設置。外部有識者やOB等による視察制度。指導に問題が生じた場合の措置の整備。コーチング理論の導入。各競技部の監督・コーチを集めた横断的なワークショップを行い、指導上の悩み、問題意識、知識経験等を持ち寄り共通の学び場を設けること。 (1)選手の自主性、主体性を確保するための措置。指導陣とのコミュニケーション不足を解消するため、幹部選手と指導陣との間でチームとしての目標設定、練習計画、具体的な指導方針、試合における戦術等に関し、定期的かつ密度の濃いチームミーティング制度を導入する。幹部選手と他選手とのコミュニケーションを活性化させるための措置。選手間ミーティング、学生メンター制度の導入。指導陣と定期的な面接制度の導入。う、フェアプレー精神の確保や暴力的体質を根絶するための必要な措置。監督・コーチに対する研修制度の導入。選手に対する研修制度の導入。フェアプレー精神、フェアプレーの日の設定。 (2)競技部へのガバナンス強化のために。1、保体審の組織改編。仮称スポーツ推進支援センターの設置。現在の保体審を廃止し、学生部等に並ぶ組織として新たにスポーツ推進支援センターを設置し、学長担当、副学長のラインの組織として位置付けを明確にする。同組織の主要幹部には外部人材を当てることとし、また、各競技部の指導者選手らが、なんらかの形で運営に関与できる仕組みを導入する。 2、競技部の部長・副部長および指導者が上記センター幹部事務局員を兼任することの禁止。 3、理事長、常務理事学長および副学長は競技部の部長・副部長、指導者、上記センター幹部または事務局職員を兼任することの禁止。 4、上記センターの事務部門の人事ローテーションの活性化や外部人材の登用。人事の硬直化を打破するため、人事の流動化を図るとともに、風通しの良い組織とするための外部人材を登用すること。 5、各競技部、上記センター、日大本部への各報告、連絡体制の整備充実。競技部は閉鎖的な組織となりがちであり、そこで現に起きているさまざまな問題を上記センターや日大本部が適宜・適切に把握できるよう、適切な報告連絡体制を整備充実させるための仕組みを検討すべきである。 6、競技部選手からの相談窓口の実施。相談対応者の中立性、客観性の担保、適切な解決方法、相談者が不当な不利益を受けないようにするための工夫などに十分配慮した仕組みを検討すべきである。 (3)適切で誠実な事後対応のために。関連規定の整備。危機管理委員会への外部委員の登用と、危機管理委員会の委員に外部人材を選任し、外部の視点を導入することを検討すべきである。併せて、危機的状況に臨機応変に、適切に対応できるスタッフの充実も図られるべきである。適正な事実調査の実施を含む危機管理対応マニュアルの整備。再発防止策の1つとして、本件のような不正・不祥事案が発生した場合の具体的な対応マニュアルを整備することは不可欠であり、そこには適正な事実調査の在り方も盛り込むべきである。 (4)責任ある広報体制の整備。危機対応プロセスの初動の段階から広報体制も適切に取り組み、対外的な情報提供と連動させた危機対応の在り方を検討すべきである。4、再発防止策の具体的内容を検討し、その適正実施をモニタリングするための仕組み。外部有識者を中心メンバーとする委員会組織を新たに設置するなど、再発防止策を全体として継続的に検討し、モニタリングしていく仕組みを設けるべきである。