日大の第三者委が最終報告(全文2)田中理事長は説明責任を果たすべき
「アメフト部任せ」に終始、大学の危機管理対応が後手
2、日大による事実対応上の問題点。これは別紙を付けておりますけど、別紙の読み上げは省略させていただきます。1、適切な事後対応を行う上で必要な責任体制が取られていなかったこと。日大においては危機管理委員会、危機対策本部等の仕組みは一応設けられていたが、本件においてはそれらが有効に機能することはなく、事後対応の措置がほとんど後手に回り、日大のレピュテーションダメージを拡大させることになった。当事者意識が希薄で、適切な基本方針が欠如していたこと。日大としては遅くとも本年5月第3週の段階では事態の深刻さを認識し、一競技部にとどまらない、全学的に対応すべき問題と捉え、関学大との対応、厳正な事実調査の実施およびその結果に基づく対策、マスコミ対応等のさまざまな面で日大本部として深くコミットし、迅速かつ適切に対処すべきであった。 しかしながら日大幹部には本件事案は、あくまで競技部対競技部の問題であり、対応についてはアメフト部に任せておけば足りるとの意識しかなかった。方針決定や対応措置の実施にかかる責任の所在が不明確であったこと。上記のとおり、当事者意識が希薄であったことに加え、対応方針の決定や、それに基づく措置の実施に関する責任の所在も不明確であったことから、主体的かつ実効的な事後対応を行うことができなかった。
マスコミ報道過熱する中、広報対応も適切さ欠く
2、事実調査の適正性の欠如。当時、理事であった井ノ口氏や日大職員によって、関係者に対する口封じという重大な隠蔽工作が行われており、日大による事実調査の体制等に大きな問題があったことは明らかである。あ、事実調査の基本的姿勢や体制が不適正かつ不十分であったこと。本来事実調査についてはその客観性、公正性を保つ見地から、初動の段階から当事者の恣意を排除しつつ、利害関係を有しない第三者的立場の者が、関係者からの聞き取り調査をはじめ、多角的に証拠を収集し、その信用性を吟味して、客観性ある結論を導くものであるが、本件においてはそのような視点を欠き、しかるべき体制も取られていなかった。い、事実調査の方法が厳密公正さを欠き、不正、不当な介入を許すものであったこと。本件においては上記のような基本が踏まえられていなかったため、井ノ口氏、あるいは他の日大職員による口封じ等の隠蔽工作を招いた。本来聞き取り調査の対象者に対し、当事者ないしその意向をくんだものが接触することなど、あってはならないことである。このことは調査の実施方法がいかにずさんであったかを物語っている。 3、対応措置の実施が遅延し、その内容もずさんであったこと。日大としての対応は本件試合後、約10日を経過してからのことであり、その間、当事者である内田氏の意向を反映した日大アメフト部によるずさんで不適切な対応を放置し、結果として日大職員による口封じ、工作をも許し、それに対する適切な措置も講じていなかった。また、第三者委員会の設置方針を決めてからも記者会見を主催して、内田氏および井上氏の一方的な弁解を世間に喧伝したため、日大に対するいっそうの信頼低下を招き、さらに傷口を広げる一方で、両氏に対する刑事事件の弁護費用を日大が負担するという常識外れな発想まで持ち合わせていた。 4、広報の在り方も適切さを欠いていたこと。本件においては試合映像が間もなくネット上で公開、拡散されて、多くの人の注意を集めるとともにマスコミの報道も熱を帯びる中で、日大、ひいてはそのブランドイメージが悪化の一途をたどっていった。日大においてはしっかりとした説明責任を果たし、信頼の回復に努めるべく、適切な広報に努めるべきであったが、事後対応における基本的な視点が欠け、広報としての本来の役割が果たされていなかった。