会社では「部長より出社が遅いのは失礼だから」と、部署のメンバーは1時間前に仕事を始めています。始業前でも「残業代」を請求できますか? 別に間に合えばいいと思ってしまいます…
始業前の仕事で残業代が発生する例
労働基準法では1日の労働時間は「8時間まで」、1週間の労働時間は「40時間まで」と決まっています。この労働時間をオーバーする場合は、夕方以降の労働でも早朝の労働でも割増賃金の対象です。 始業前に仕事をして、以下のいずれかに該当する場合は残業代が発生する可能性があります。 ■上司の命令で始業前に出勤した場合 使用者である経営者や上司から「始業前に出勤して働きなさい」と明確な指示があった場合は「使用者の明示」にあたり、その時間は労働時間になります。 ■全員で参加する清掃の時間 上司や経営者から指示命令がなくても、暗黙の了解で始業前に出勤しなければいけない場合は、その時間も労働時間に含まれます。例えば「業務を始める前に社員全員で清掃する」といった場合、明確な指示がなくても黙示の指示を受けたと見なされます。 また、始業時間の前に全員参加の朝礼をするようなケースも同様です。 ■手待ち時間 作業はしていないものの、雇用主からの指示があればすぐに対応できる時間のことを「手待ち時間」と呼びます。手待ち時間は指揮命令下にあるため、労働時間と見なされます。 具体的には早朝に顧客が来るまでの待機時間、朝の時間帯以外にも、休憩時間などに電話番や来客対応をした場合は手待ち時間に該当するケースがあります。
始業前の仕事で残業代が発生しない例
始業時間より前に出勤しても、労働時間の対象にならないこともあります。例えば「通勤時間のピークより早く出勤して渋滞を回避したい」と考えて早く会社に着いた場合です。あくまでも自分の都合のみで早く出勤しているため「指揮命令」「黙示の指示」にはあたりません。 また労働時間内にできる仕事を「電話が鳴らない早朝に済ませてしまいたい」と考えて早く出勤したような場合も、自分の判断だけで早く出勤しているので、残業代の支払い対象には含まれません。
まとめ
始業時間前に出勤することが使用者の指示命令や、暗黙の了解で出勤せざるを得ない状況が理由である場合は、時間外労働として残業代を請求することが可能です。朝の残業で残業代が支払われるか不安な場合は、できるだけ早いうちに上司や総務に確認しましょう。 ただし、自分の都合のためだけに早く出勤した場合など、残業代の支給対象に含まれないケースもあります。 出典 ベースメントアップス株式会社 出社時間についての調査(PR TIMES) 厚生労働省 事務所と現場の稼働時間を見直してみませんか? 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部