シャープの「ヘルシオ トースター」が登場 強豪だらけの市場で、“3倍需要”の背景
トーストの好みは人それぞれ違う
ヘルシオ トースターを開発するにあたり、「消費者がトースターに求めていることを再考したこと」が現在の仕様につながったという。 まずトースター市場を見ると、1万5000円以上の高級トースターの領域が伸長している。新製品も登場しており、バルミューダは2024年2月にリベイクトースター「ReBaker(リベイカー)」(公式サイトで2万5300円)を、ツインバードは2023年11月にパン職人の浅井一浩氏と共創した「匠ブランジェトースター」(同2万5800円)を、それぞれ販売している。 さらに、社内で「トースターに求められている点」をアンケートしたところ、「トーストのおいしさ」に最も票が集まった。より深堀りすると、「トーストのおいしさへのニーズ」が多様であることが分かったという。 「トーストに求めることを聞いてみたところ、外は香ばしく中はやわらかいバランス重視が46%と最多でした。一方で、『パンに応じて焼き方を変える』と回答した人が43%もいて、少数ですが『その日の気分で好みが変わる』『全体的に香ばしいのが好き』『全体的にふんわりが好き』といった声もありました」 市場のトースターを見ると、焼き色の調整はできてもパン内部のふわふわ度を調整できる機能は見当たらない。ニーズが多様であるにもかかわらず、それに応えられていないことが見えてきたのだ。 「炊飯器は食感による炊き分けが当たり前になっていますが、パンに関しては焼き分けをする概念が薄いように思います。でも、実はトーストの好みは人それぞれで、パンの種類によって焼き加減を変えたい人は多くいる。焼き分けができれば、高価格帯でもニーズを満たせると考えました」
高級トースター市場は強敵ぞろい
ヘルシオは発売から20周年を迎え、一定のブランド認知率や信頼度を獲得しているといえる。「おいしさ」「健康」「簡単・便利」の3つを特徴として訴求しており、ウォーターオーブン「ヘルシオ」の累計販売台数は280万台(2023年11月末時点)を超える。 一方で、高級トースターの領域に絞ると、ヘルシオの印象は薄くなる。高級トースターの代名詞ともいえるのは、バルミューダが2015年に販売した「BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」(公式サイトで3万3000円)で、累計販売台数は国内外で180万台(2022年末時点)を超える。 何度かリニューアルを重ねて2023年10月に販売した最新製品は、スチームテクノロジーと、より細やかになった温度制御でパン本来の味と香り、焼きあげ時における食感のコントラストを最大限に引き上げるよう設計されている。2024年2月に販売した「ReBaker」もパンの調理にこだわり、焼き立てを再現するリベイクモードなどを搭載する。 ツインバードの「匠ブランジェトースター」も、常温・冷凍のさまざまなパンを全自動でリベイクする機能に特化。温度センシングと独自の火力調整プログラムで温度バランスを実現し、パンのおいしさを引き上げる。 パン職人の世界大会「iba cup」で総合優勝経験を持つパン職人の浅井一浩氏が監修を務め、約3年の開発期間を経て誕生した自信作だという。発売から3カ月弱で年間の目標売り上げ台数を達成し、これまでに2万台以上を販売、想定以上のヒットになっているようだ。