【競馬・有馬記念予想】ドウデュースは有終の美を飾ることができるか? 現役最強馬が抱える唯一の不安
ドウデュース(牡5歳)は現役最強の競走馬だが、決して優等生ではない。 それは、ここまでの成績が証明している。 【画像】美人勝負師「フォトコレクション」 2歳時はデビュー3連勝でGI制覇といった"エリート感"のある快進撃を見せたものの、3歳になって以降は、ここ2戦こそ圧倒的な強さを見せつけているが、ずっと連勝することはなかった。しかも、人気を背負いながら、あえなく馬券圏外に沈んでしまうことも多々あった。 このあたりは、同世代の歴史的名馬イクイノックスと比べると、明らかにキャラが違う。イクイノックスは競馬っぷりに安定感があり、本格化してからは圧巻のGI6連勝。"負けない王者"として世界の頂点にも立った。 ともあれ、そのイクイノックスに、生涯2度しかない敗戦のひとつを、GI日本ダービー(東京・芝2400m)で味わわせたのは、ドウデュースだ。昨年のGI有馬記念(中山・芝2500m)もそうだが、"ここぞ"という大一番では、呆れるぐらいの強さを見せて勝ってしまうのである。 そんな、危うさを秘める"ヒーロー"キャラを形作っているのは、あまりにも個性的というか、荒っぽいレースぶりである。 道中は後方に待機して、4コーナー手前から大外をぶん回して直線で豪快に追い込む。必勝パターンは、このひとつ。それゆえ、ときに強いが、ときに脆い。 だがこの秋、これまでの不安定さを一切見せることなく、2歳時以来となる連勝を飾った。それも、天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)とジャパンカップ(11月24日/東京・芝2400m)という、日本のGIのなかでもトップクラスに位置づけられるGI2戦で、だ。
そして今週、グランプリ有馬記念(12月22日)でGI3連勝――それこそ、2000年のテイエムオペラー、2004年のゼンノロブロイ以来史上3頭目の、古馬・秋の三冠制覇という偉業に挑む。 有馬記念はドウデュースが昨年、強い競馬で勝ったレース。勝てば、連覇達成という快挙も同時に成し遂げることになる。 しかしながら、有馬記念を連覇した馬は1984年のグレード制導入以降、わずか3頭しかいない。シンボリルドルフ(1984、1985年)、グラスワンダー(1998、1999年)、シンボリクリスエス(2002、2003年)である。 つまり、20年以上もの間、連覇した馬は1頭もいない。先述の秋の三冠同様、データ的にそのハードルはかなり高い。 現役最後の一戦、ドウデュースはこのハードルを超えることができるのか。勝って、有終の美を飾ることができるのだろうか。 関西の競馬専門紙記者はこんな見解を示す。 「勝算は、かなり高いでしょう。能力が一枚、抜けていますからね。前走のジャパンカップがいい例です。道中で行きたがって、ゆえに最後の直線は誰が見ても早仕掛けになっていました。普通なら掲示板もない、負けている競馬ですよ。 それを勝ってしまうんだから、他の馬とは能力が違った、ということ。有馬記念もその能力の違いで勝ちきってしまう、その公算は大きいと見ています」 ゴール前でライバルたちをまとめてねじ伏せてしまう末脚は、確かに他馬にとっては脅威だろう。昨年同様、今年もその末脚が炸裂したら、連覇も、秋の三冠も達成される可能性は相当高い。 有馬記念ではもうひとつ、秋のGI戦線における消耗度がポイントに挙げられるが、その点はどうか。先の専門紙記者は、それについても「心配はいらない」という。 「馬は、ムチャクチャ元気。まして、日本でトップを争う厩舎の仕上げですからね。力を使い果たして出がらし、なんてことはあり得ないし、もしそうなら(レースには)使いませんよ。状態面には、何の問題もないと思います」 実際、同馬を管理する友道康夫調教師は一週前の追い切り後、「(状態に関しては)今が一番いい」と語っている。少なくとも、状態面が問題で負けるということはないだろう。