筑波実験植物園の「クレマチス園」に行ってきました。【前編】見どころ&おすすめ品種は?
国立科学博物館の関連施設、筑波実験植物園にはさまざまな珍しい植物があり、園芸ファン注目の植物園の一つです。今回、6月2日(日)まで期間限定で一般公開されている「クレマチス園公開」に行ってきました。 【写真で見る】筑波実験植物園のクレマチスコレクション 一部を紹介! クレマチス園では希少な品種を含む約340種のクレマチスが栽培されており、そのうち約250種類が特別公開され、早咲きから遅咲きと期間中ずっと開花を見ることができます。入口には最新品種の鉢植えが並べられており、まだ流通も少ない品種もありました。企画展運営から栽培管理まで担当している研究員・村井良徳さんに見どころなどを案内していただきました。
自生地が失われつつあるカザグルマの貴重なコレクション
クレマチス園を特徴づけているのは日本最大の「カザグルマコレクション」とのこと。カザグルマ(Clematis patens)は日本に自生する野生のクレマチスで、シーボルトらがヨーロッパに持ち帰り、大輪クレマチス品種の交配親になりました。現在、かつての自生地の多くでは絶滅してしまい、残っている場所も絶滅が危惧されています。クレマチス園の入口に展示されたパネルでは、本州から四国、九州、朝鮮半島まで、確認されたカザグルマの自生地が紹介されていました。
「当園では日本各地30産地以上のカザグルマを保全栽培し、そのうち15産地ほどをクレマチス園で展示しています。開花時期はゴールデンウィークごろがピーク。産地によって開花時期がやや異なります」(村井さん) 取材に訪れた5月上旬は茨城県産のカザグルマがまだ咲いていました。クレマチス園では、ほかにハンショウヅル類などの絶滅危惧種も保全栽培しているというお話でした。
クレマチスを系統ごとに観賞できる
植物園によってはクレマチスをバラなど他の植物と合わせて展示されていることもありますが、ここは品種ごとに栽培される見本園となっています。カザグルマ系、フロリダ(テッセン)系、ビチセラ系などの系統ごとに展示されており、近縁種と比較しながら見ることができます。 また、野生種、日本の名花、100年以上前の品種、21世紀リリースなどに分類され、花名表示にシールが貼られており、品種の特徴や重要性を見逃さずに観賞できます。長く愛されてきた品種には、花の咲き方や色など特徴があり、人気にも納得です。