【感染症ニュース】マイコプラズマ肺炎39歳「咳が強く、息苦しい。脈拍1分間に138回」
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)を原因菌とする肺炎で、流行時には市中肺炎全体の20〜30%を占めることもあります。感染経路は飛沫感染(せきなどの飛沫を吸いこむ)、接触感染(患者と身近で接触する)です。患者は1〜14歳に多く、家庭内や学校などでしばしば集団感染が起こります。潜伏期間は感染後2〜3週間程度で、症状は発熱、全身倦怠感、頭痛、咳などで、熱が下がっても咳が長く(3〜4週間)続くことがあります。肺炎の場合でも比較的症状は軽く、肺炎に至らない気管支炎症例も多いとされています。しかし、重症化して入院治療が必要な症例もあります。 今回は、感染症・予防接種ナビに寄せられたマイコプラズマ肺炎の経験談をご紹介します。 【2025年】1月に注意してほしい感染症!新型コロナ変異株XEC流行に注意 医師「社会の一部からの声に惑わされるべきではない」 インフルエンザ冬休み明けの動向要注意 ◆マイコプラズマ肺炎 39歳 埼玉県 約3週間前家族みんなコロナに感染し、咳が治まってきてきた頃のことでした。 1日目 朝から倦怠感あり、熱が出る前ぶれみたいな状態で明らかに調子が悪い。この前日から中学生の長男が発熱していたので、このときインフルが流行っていたので絶対そうだろうと思っていたがインフルまさかの陰性。私はまだ熱もなかったので、普通の風邪を長男からもらったのだろうと思っていました。夕方くらいから、倦怠感強くなり、頭痛もあって熱を測ったら38.3℃。最高で38.8℃。この時、咳はあったけど、そんなに気にならないくらいでした。 2日目 咳が酷くなり、コロナのときとは明らかに違う痰絡みの咳。痰の色は黄色から少し緑っぽい感じ。熱も常に39℃を越えている状態。解熱剤を飲めば一時的に下がるけど、保って3時間。そんなことの繰り返し。この頃から肺が痛くて、息苦しさもあり熱と咳で寝られなくなっていました。 3日目 咳はどんどん強くなり、とにかく息苦しい。トイレに行くだけでも辛かったです。祝日だったこともあり病院で詳しい検査は出来なかったけど、もしインフルだったら2日以上経っていると薬を飲んでも意味がないと言われたで、とりあえずインフル検査をやって結果はやはり陰性。このころから、肺炎かなと頭をよぎる‥。この日も夜は全く寝られず、最高39.7℃ 4日目 休み明け、症状はピークに。もう一度病院へ。Spo2(経皮的動脈血酸素飽和度)は97%だったが、脈が1分間に138回。常に運動した後の状態。すぐ採血とレントゲン。肺には影があり、肺炎と診断。白血球は正常値、CRPは7.0高値。マイコかもしれない。長男も咳と熱が続いていたので、調べてもらったらマイコ陽性でした。熱は2日で微熱になりその後平熱に戻りました。咳は1ヶ月続きました。 ◆感染症に詳しい医師は… 感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「経験談をお寄せいただき、ありがとうございます。直接、診察した訳では無いので、不明な点もありますが、肺炎を発症されたこと、お気の毒としか言いようがありません。陽性判明後に、どのような治療を受けられたのか不明ですが、薬剤のファーストチョイスは、マクロライド系となります。しかし、処方薬で症状が改善されない場合は、耐性菌の可能性を考慮し、ニューキノロン系の薬に変更すべきと考えます。大阪府の病院レベルでの報告で、公的機関が出したデータではありませんが、“耐性菌”の報告もあがっています。耐性菌の場合でも他の抗菌薬で治療が可能ですので、早めに医療機関で診断を受けて、適切な治療を受けることが重要です。咳も長引いているようですが、一日も早い回復をお祈りしています。マイコプラズマ肺炎に大人が罹患した場合、小児科と違って、外来で検査することは、まずありません。私の勤務先にも、マイコプラズマ肺炎で入院された20代の方がいらっしゃいましたが、原因不明の風邪のような症状で、市販薬を服用しながら、1週間経過後に、どうにもならなくなり医療機関を受診された方がいらっしゃいました。このような感染症が流行していることを、皆さんも知っておく方がいいと考えています」としています。 ◆感染経路は? 患者の咳の飛沫(しぶき)を吸い込んだり、患者と身近で接したりすることにより感染すると言われています。家庭のほか、学校などの施設内でも感染の伝播が見られます。感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、2〜3週間くらいとされています。 ◆マイコプラズマ肺炎の症状は? 発熱や全身倦怠感(だるさ)、頭痛、痰を伴わない咳などの症状がみられます。咳は少し遅れて始まることもあります。咳は熱が下がったあとも長期にわたって(3〜4週間)続くのが特徴です。多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎で済み、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎になり重症化することもあります。一般的に、小児のほうが軽くすむと言われています。 引用 国立感染症研究所:「中国で小児を中心に増加が報じられている呼吸器感染症について(2023年11月24日)、「マイコプラズマ肺炎とは」 厚生労働省:「マイコプラズマ肺炎に関するQ&A」 取材 大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏