「警察に届けを出すぞ、誠意を見せろ」…ウチの子がケガをさせたヨソの子の親から凄まれた時の"適切な返し方"
■「タイマン」の結果、相手を死なせて約6500万円支払った事例も これは極端な例ですが、15歳と14歳の少年が「タイマン」をして、途中から加害者の仲間数人が暴行に加わったこともあり、被害少年が急性硬膜下血腫および脳挫傷で死亡したという痛ましい事件が過去にありました。このときは加害少年とその親に対して、裁判所は入院治療費などのほか、慰謝料2500万円、逸失利益3959万円の支払いを命じています(神戸地裁、平成25年4月18日)。 仮に被害者側から「警察に被害届を出してもいいんだぞ。もっと誠意を見せろ」というような態度を取られたら、交渉の経緯を録音するなど記録しておいたほうがいいでしょう。その中で穏やかではない会話があった場合は証拠になります。また、相手側が明確な金額を言ってこない場合、こちらから「誠意とおっしゃるけれど、それは具体的にいくらですか?」と聞くとか、「50万円とおっしゃったけれど、その金額でよろしいでしょうか」など、こちらから要求金額を明示するような方向で証拠化するのも一つの手です。 学校で起こった子ども間のトラブルについては、災害共済給付制度という一定額保険が下りる制度があります。これは独立行政法人日本スポーツ振興センターが提供する共済制度で、任意の加入ながらほぼすべての対象児童・生徒が保障の対象です。そういう意味でも、学校で生じたトラブルはまず学校に届けておきましょう。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年11月29日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 古藤 由佳(ことう・ゆか) 弁護士 弁護士法人・響所属。消費者トラブルや借金・交通事故・離婚・相続・労働問題など、民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。FM NACK5「島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相」にレギュラー出演するほか、メディア出演多数。 ----------
弁護士 古藤 由佳 構成=篠原克周