「紙の『じゃらん』ってまだあったのか…」かつては“一強”状態だった旅行情報誌がついに休刊…それでも「遅すぎた」と言わざるをえないワケ
その最たるものは競合相手の多さ。国内向けのOTA(オンライン旅行代理店=Online Travel Agency)は、「楽天トラベル」「一休.com」「るるぶトラベル」「Yahoo! トラベル」「ベストリザーブ・宿ぷらざ」「Relux」など。 さらに海外系のOTAにも「Booking.com」「Expedia」「Agoda」「トリバゴ」などで国内施設の予約が可能であり、情報誌時代のように営業力を生かした一強とはほど遠い難しさがあります。
宿泊施設への予約は、主に予約サイト、施設への直接予約、旅行会社経由の3パターンで、そのうち「半数程度は予約サイトが占める」のが業界の常識。 ただ宿泊施設にとっての理想は、予約に応じた手数料を払わなくも済む自社ホームページなどでの直接予約でしょう。そのためOTAを経由せずに宿泊予約してもらうための工夫を重ねていますが、OTA側としてはそれが進むほど売り上げが下がってしまいます。 ■賢くなった利用者にどう対応するか
また、利用者はOTAをいいものと思っている人だけではありません。手数料ありきのビジネスモデルを疑問視し、クチコミ欄を「ステマではないか」と警戒。旅情報の特集ページやキャンペーンも「広告だろう」という目で見るなど、「参考程度にはするけどここで予約はしない」という人も増えているようです。 そのようにネットでの情報収集に長け、「企業側が仕掛けるビジネスには簡単に乗らない」という人が増えたのは間違いないでしょう。そんな賢くなった人々にどのようなサービスで対応していくのか。
2000年代から苦しくなる一方だった過程を見る限り、「遅すぎた」という感は否めませんが、それでも来春、『じゃらん』が休刊し、「じゃらんnet」に集約したとき、どのような戦略を仕掛けていくのか。 旅行というジャンルにとどまらず、リクルート全体のコンテンツを再浮上させるようなものを期待したいところです。
木村 隆志 :コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者