「紙の『じゃらん』ってまだあったのか…」かつては“一強”状態だった旅行情報誌がついに休刊…それでも「遅すぎた」と言わざるをえないワケ
1990年代から2000年代までの『じゃらん』は日本全国の宿泊施設をクライアントに持ち、前述したライバル誌・JTBの『るるぶじゃぱん』を寄せ付けない一強状態。 各地の宿泊施設で話を聞くと、判で押したように「『じゃらん』に頼るしかない」という言葉が返ってくるくらいでした。先駆者としてのアドバンテージだけでなく、提案、クロージング、足を使った努力などの営業力が優れていたのは間違いないでしょう。 宿泊施設の予約は2000年にスタートした「じゃらんnet」に引き継がれていくようです(ちなみにJTBの「るるぶ.com」は2001年スタート。2019年に終了しましたが、「るるぶ+」など別サイトに移管)。
しかし、関係者や読者の効率性が上がった一方で、「営業担当者と宿泊施設との関係性が以前よりドライになった」という話をたびたび聞くなど、「すべてがよくなった」というわけではないのでしょう。 ■今も収益を上げる「旅行関連本」 では、「旅行関連本のビジネスがまったく通用しないか」と言えば、まだ「YES」とは言い切れないところもあります。 たとえば、現在の旅行関連本はビジュアル重視のものが主流。デジタルではなく紙で見ることを楽しめたり、部屋に飾っておきたくなったりするような美しい写真をベースにデザインされたもので販売につなげています。
これは「やっぱり紙の本もいいな」「ここに行ってこういう写真を撮ってみたい」などと思わせる本なら売れるかもしれないということでしょう。 また、もともと『じゃらん』のような広告メインではなく、情報メインのムック本が強みだったJTBは2011年に自治体発行の公式パンフレットを作成する「カスタム出版(るるぶ特別編集)」という事業をスタート。 『るるぶ』ブランドを貸したタイアップ本を手がけるビジネスであり、対象を企業や学校などにも広げつつ貴重な収入源となっています。