もはや「新車超え」!? リニューアルしたJR四国8000系グリーン車 ホントに32年前の車両? 窓も大きく感じる工夫
8000系のリニューアルは2回目
JR四国にとって初めての特急形電車である8000系は、1992(平成4)年に試作車が登場しました。最高160km/hでの運転を見据え、制御付き振り子装置を搭載し、カーブでも高速運転を行える高性能電車です。JR四国の屋台骨といえる予讃線の特急「しおかぜ」「いしづち」として、今日まで走り続けてきました。 この8000系ですが、今までに2回リニューアルを行っています。1回目は2004(平成16)年で、内外装が変更されました。グリーン車と普通車指定席は「S-Seat」と呼ばれる、ひじ掛けや座席背面が木製となった新型座席に換装。リニューアルデザインは2005(平成17)年のグッドデザイン賞を受賞するなど、高く評価されました。 【写真】新車並み! これがリニューアルされたグリーン車です 座席鉄である筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、リニューアルされたグリーン車に乗りましたが、インテリアが抜群に良くなったのに対して、グリーン車と普通車の座席部品を共用化したこともあって、グリーン車座席のひじ掛け幅が狭かったり、テーブルが小さかったりと、やや無理のあるつくりと感じました。 リクライニング角度や座席形状、フットレストのつくりも含めて、座席の出来としては正直リニューアル前の方がよかったのではないか、と思わざるを得ませんでした。 そのグリーン車が2024年8月に、2度目のリニューアルを行いました。同月下旬に特急「しおかぜ」を利用した際に乗車できたので、さっそく堪能してみました。 車内に入ってすぐに感じたのは、照明の温かさでした。照明をLEDへ交換し、荷物棚の照明と相まって明るくも感じられました。
もうひとつの特急形8600系とはどう違う?
JR四国の看板となる特急形電車には、2014(平成26)年に登場した8600系もあります。グリーン車はE5系新幹線とほぼ同じ座席を、1cm広い座席間隔117cmで配置しており、筆者はJR在来線の特急形電車の中で最も快適だと評価してきました。枕やレッグレストに加え、E5系にはないフットレストも備えており、新幹線よりも高いグレードだからです。 そのような8600系に対し、窓配置を見ると2列1窓となっている8000系の方が、壁面に占める窓の比率が大きいためか、かなりの解放感を覚えました(8600系は1列1窓)。 要因は床面にもあります。通路部分に対して、座席部分の床が9.5cmかさ上げされているのです。これは新型の特急車両でも見られない個性と感じます。これにより、側窓の大きさ自体はリニューアル前の縦78cm×横191cmで変わらないのですが、目線が窓の高い位置となるため、相対的に窓が大きくなったと感じるのです。 かさ上げした床にダウンライトも仕込まれていることで、より高級感のある雰囲気となり、前述した室内の明るさにも貢献しています。 またリニューアル前の8000系は、窓側壁面の足元にダクトが張り出しており、足や荷物を置く妨げと感じましたが、リニューアルし床面自体を高めたことでフラットとなりました。姿勢の自由度が増し、風景も見やすくなったわけですから、改良と感じました。 座席そのものは、特急「南風」などで活躍する2700系気動車のグリーン座席と同じもので、座席幅47.5cm、ひじ掛け幅7cmです。8600系との違いは枕の有無。振り子式車両で低重心・軽量化を実現するために、2700系や8000系リニューアル車では枕を外したとのことですが、8600系と比べると枕のない分だけ、快適性ではやや劣ります。 リニューアル前のグリーン座席と比較するなら、リクライニング角度や座席形状の改良、レッグレストとコンセント、ひじ掛け内へのテーブルの追加、ひじ掛け幅の拡大、テーブルの大型化が見られます。