蝶野正洋×橋本大地 ── 大阪・アメ村で「闘魂三銃士30年特別記念公演トークバトル」
長州さんは後輩にも厳しくて、怖かった
もっとも、期待が大きかった分、デビュー後、辛酸を舐めつくしたと言っても過言ではない。デビューして8カ月、70試合、ずっと負け続けた。そして71戦目にして初めて勝利を飾った。 「その頃、親父の名前もあって、いろんな選手とやらされたんです。1戦目は蝶野さんで、2戦目が武藤さんで、3戦目はビッグバンベイダーで、俺、これ、ほんとに勝てんのかって、自分で自問自答をしたりもしましたけど、これで勝ち星をどこかでとらないと一生勝てないと思った。毎日トレーニングして、試合をやる時は勝ちだけを目指して、無我夢中でした。蝶野さんからSTF(プロレス技のひとつ)を伝授していただいて使ってたんですけど、この日(71戦目)はすごいバッチリ入って、それで勝てた。プロレスラーって不思議なもので、一回勝利を手にすると、けっこう勝率が上がっていく。トータルでいくと、負けの方が多いですけど、そこから勝てるようになった。勝ったイメージがどんどん広がるし、次、こうしたらいいとか、自分の中でわかってきて消化されていくんです」 やがてZERO-ONのレスラーとして年間100試合をこなした。2年で200試合をやった。怪我での欠場も影響し、契約満了となると、2014年6月1日付けで今度は新しいIGFと契約した。アントニオ猪木が代表を務める、ストロングスタイルの団体だ。 「IGFのスタイルは今までやってたスタイルとは違う。プロレスの戦いではあるけど、戦いに命をかけている、真剣勝負です。それは猪木さんが求めているもの。ショーの要素は一切ない。ただ、僕はハーフな感じで、ストロングスタイルも、ショーとしてのプロレスもわかっている」 「蝶野さんは、親父の時代から知っている人で、すごくいい人です。プロレスで悩み事があったら最初に相談したり、尊敬している方です」と大地選手は話すが、そんな蝶野は、トークショーで数々のエピソードを暴露して場内を沸かせた。 「三銃士は(絆は深いが)仲が悪かったからな。レスラーの業界の人は悪口しか言わないんだよ。控え室から選手が出ていくと、すぐに悪口が始まる。だから控え室を出て行ったあと、長州さんも、藤波さんも、いったん、すぐに戻ってくるんだよ。長州さんは後輩にも厳しくて、怖かった。それが今はバラエティーにも出て、カツゼツの悪さをいじられるのも、OKにしちゃったからな」