間近で「アメリカ軍の兵士」に銃を向けられた…日本の国土は、「すべて米軍の治外法権下」にある「ヤバすぎる現実」
高江の「ベトナム村」
なにより高江には、ベトナム戦争時代のつらい歴史があるのです。 上の写真を見てください。上部に見えるのが、まだ沖縄が占領されていた一九六四年、米軍がベトナムでのゲリラ戦の訓練をするために高江につくった、「ベトナム村」とよばれる軍事演習施設です。 小高い丘の上に、まるで「貴賓席」のような場所をつくって、米軍の幹部たちが「ベトナム村」で行われている軍事演習を見下ろしています。そこでベトナム人の格好をさせられてベトコン役を演じていたのが、ほかでもない高江の住民だったのです(「標的の村」三上智恵監督 2012年)。 「この訓練〔模擬ゲリラ戦〕には乳幼児や五、六歳の幼児をつれた婦人をふくむ約20人(略)が徴用され、対ゲリラ戦における南ベトナムの現地部落民の役目を演じさせられた。作戦は海兵隊一個中隊が森林や草むらにしかけられたワナや落とし穴をぬって「ベトコン」のひそむ部落に攻め入り、〔敵兵を〕掃討するという想定のもとにおこなわれた」(「人民」1964年9月9日)
米軍の軍事演習は、日本全土で行われている
「そんな占領時代の沖縄の話が、なぜいまのオレたちと関係があるんだ」 とおっしゃる方も多いでしょう。 しかし米軍の軍事演習について、日々リアルな情報を耳にする私たちからすると、それはかなり楽観的な意見だと思わずにはいられません。 『知ってはいけない』にある図は、沖縄の普天間基地に配備されたオスプレイが、日本全国にある6つの低空飛行訓練ルート(ルート名が黒地に白抜きのもの)へ向かう航路です。 日本の国土を使った軍事演習が沖縄だけの話なら、どうして日本中にこのような訓練ルートがつくられ、そこでオスプレイが低空飛行訓練をしているのでしょう。 この図は、オスプレイの配備に備え、米軍(海兵隊)自身が公式に作成した資料です(2012年発表)。 しかしこの低空飛行訓練ルートそのものは、けっしてオスプレイのために新しくつくられたものではありません。私たち日本人が知らなかっただけで、米軍はずっと以前から、こうした軍事演習を日本中で行っているのです。 では、いったい何のために米軍は、そうした低空飛行訓練をこれまでずっとやってきたのか。それはすでに述べた通り、地上に標的を設定して、その標的を上空から攻撃する訓練を行うためなのです。 「いくつかの米軍機の事故報告書から、低空飛行訓練は対地攻撃〔敵の地上部隊や地上施設への攻撃〕と一体になった訓練であることが分かっている。敵のレーダー探知を避けるために地形に沿って〔低空〕飛行し、目的地の手前でポップアップ〔急上昇〕してから急降下して爆撃する。これが戦闘攻撃機の低空飛行訓練の実態だ」(「リムピース」HP) ですから高江の住民のみなさんが、いままさに日々、実感しているように、米軍機の低空飛行訓練とは、つねに具体的な「標的」の存在を前提とした訓練なのです。 さらに連載記事<なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」>では、コウモリや遺跡よりも日本人を軽視する在日米軍の実態について、詳しく解説します。
矢部 宏治