間近で「アメリカ軍の兵士」に銃を向けられた…日本の国土は、「すべて米軍の治外法権下」にある「ヤバすぎる現実」
「基地返還」のトリック
本土と違って沖縄では、研究者もメディアも住民も米軍基地をよくウォッチしていますので、そこでいま何が起きているのか、かなり詳しく知ることができます。 北部訓練場の「一部返還」についての日米両政府の説明は、概略次のようなものでした。 ○ この約4000ヘクタールにおよぶ基地の返還は沖縄の本土復帰後、最大のものであり、沖縄の住民の基地負担を大幅に軽減するものである。 ○ しかし、返還予定区域内にあるヘリパッドだけは、米軍の訓練に支障をきたさないよう、返還しない地域に移設することになる。*註2 返還しない地域に代わりのヘリパッドを新しく6つつくる計画を発表したわけです。 ところがこの説明には大きなトリックがありました。 まずひとつは、新しくつくられるヘリパッドが、従来のものの数倍の大きさの「オスプレイ用ヘリパッド」であり、その完成後は、きわめて事故の多い危険なオスプレイの飛行訓練が、頻繁に行われる計画になっていたことです。 もうひとつは、その新しい6つのヘリパッドが、人口140人ほどの高江の集落をグルリと取り囲むようにして、つくられる計画になっていたことでした。 この北部訓練場のケースでも、米軍がいつものパターンどおり、自分たちにまったく必要のない土地を日本に返還し、代わりに「訓練機能の強化」をはかったことは、彼ら自身が公式資料のなかではっきりと述べています。 「今回、〔北部訓練場の〕全体の51パーセントにあたる使用できない土地を日本政府に返還するが、その代わりに、新しい訓練施設を使った非常に効率的な訓練が可能となる」(米海兵隊「戦略ビジョン2025」) この資料に書かれた「新しい訓練施設」とは、ヘリパッドだけのことではありません。米軍はさらに、新設されるヘリパッドから数キロ離れた海岸沿いの河口に演習区域をもうけ、歩行訓練用の道路もつくって、オスプレイを使った敵地への上陸訓練を行う予定なのです。 *註2 1996年12月の「SACO最終報告(SACO合意)」にもとづく説明