間近で「アメリカ軍の兵士」に銃を向けられた…日本の国土は、「すべて米軍の治外法権下」にある「ヤバすぎる現実」
日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。 【写真】なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。 *本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。
日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある
しかし、不思議ですよね。 独立国の首都圏上空が他国の軍隊に支配されているのです。この異常な状態が、なぜこれまで大きな問題にならなかったのか。 もちろん、その問題を指摘する人たちもいました。共産党は国会で何度も質問していますし、石原慎太郎都知事の初期の時代には、「横田基地の軍民共同使用」という表現でしたが、空域の返還についても議論されていました。 またここ数年は、私たちがこれまでに執筆してきた本の紹介というかたちで、全国放送のテレビ番組などで何度も取り上げられるようになりました。 ところが事態はいっこうに何も変わらない。国会がこの問題で紛糾することもないし、大規模なデモが起こるわけでもない。世界的にも例のないこの異様な状態が、ただ淡々と続いているだけなのです。 おかしい。 不思議だ。 どう考えても「普通の国」ではない。 そう思わざるをえない典型的な例のひとつです。 しかし、さらに調べていくと、もっと信じがたい事実が浮かび上がってくるのです。 それは、 「米軍に支配されているのは、じつは空の上だけではない」 という事実です。
沖縄の小さな集落でいま起きていること
2017年2月から巨大な米軍基地の新設工事が再開され、巨大なコンクリート・ブロックがどんどん海に投げ込まれてしまった辺野古(沖縄県名護市)という土地については、みなさんよくご存じだと思います。 たった7年前まで、本土ではほとんど知られていなかったこの沖縄本島北部の美しい岬は、鳩山首相が普天間基地の移設問題で失脚したことをきっかけに、突如、日本中で広くその名が知られるようになりました。 では、高江はどうでしょうか。 そこは辺野古よりもさらに北方の森林地帯にある、人口わずか140人ほどの集落です。この小さな小さな集落で、いま何が起きているかを見れば、米軍が空の上だけでなく、地上でも日本の国内法を無視して行動する権利を持っていることがわかるのです。 この高江(沖縄県国頭郡東村)で問題になっているのは、沖縄の米軍基地で最大の面積を持つ「北部訓練場」の一部返還に関して、です。 「一部でも返還されたのなら、よかったじゃないか」 と思われるかもしれません。 事実、2016年12月22日には、北部訓練場の半分以上にあたる約4000ヘクタールが日本へ返還され、日本全体の米軍基地(専用施設)に占める沖縄県の割合も、74パーセントから71パーセントに低下しました。 しかし、米軍は何かを返還するとき、ただ自分たちの権利を損なうようなことは絶対にやりません。むしろ「返還」という見栄えのよい行動のウラ側で、自分たちの「権限の強化」や「訓練機能の強化」をしたたかに実現しているケースがほとんどなのです。 たとえば、危険な普天間基地を閉鎖する代わりに、日本側の予算で辺野古に巨大な最新基地を建設するという計画などがその典型と言えるでしょう。 高江で問題の中心になったのは、やはりオスプレイでした。この非常に事故の多い軍用機が使うヘリパッド(ヘリ発着場)の建設をめぐって、住民たちとのあいだで激しい対立が起こっているのです。