「謙虚は美徳ではない」。伊藤忠CEOが断言、仕事ができる人に共通する5つのこと
3.「何か新しいことをやれ」とは言わない
岡藤は「客を見ろ。客が欲しがっているものを探せ」とは言う。だが、決して「何か新しいことをやれ」とは言わない。 新しいことをやれと言われて、革新的な商品ができたためしはないからだ。「新しいことをやれ、新しいものを探せ」と言われたら、部下は流行しているものを探してきて、流行している言葉で粉飾する。 「新しいAIを使った新しい発注システムです。このAIがアメリカでは最先端です」 そう言って優秀なメンバーを集めて、開発を始めて1年が過ぎたとする。できあがったものはものすごく古いものだ。何百社もの会社が先行して開発したものと大差ないどころか古くさいものになっていることは間違いない。 よってたかって開発した「新しいもの」が他の商品と差別化されるはずがない。 商人であろうとするならば、客が「潜在的に」欲しいと思っているけれど、まだ形になっていないものを商品化することだ。それが新しい商品だ。
4.客に「何か欲しいものはありますか?」とは訊ねない
商人は客に「何か欲しいものはありますか? それを商品したいのです」とは聞かない。アンケート調査でもそんな露骨で見え見えの質問はしない。するのは大手マスコミだけだ。 「欲しいものは何ですか?」と聞かれて、即答する人は少数だ。しかも、返ってくる答えは流行している商品、サービスもしくは趣味的な商品、サービスだろう。客といっても人間だ。未来のマーケットを予想できるはずがない。 みんなが欲しがっているものを探すのではなく、みんなが困っていることを聞く。そうして、困っていることを解決して商品やサービスにする。 「夜中や休日に店が開いていない。困った」 それでコンビニができた。 「タクシーがつかまらない。この辺には走っていない」 それでライドシェアができた。 「ホテルは高い。もっと安くて広い部屋に泊まりたい」 そんな困りごとを耳にした人が民泊を始めた。 自動車は移動の不便を解決した商品だし、ユニクロは安かろう悪かろうという困りごとを解決した。儲かっている会社が出している商品は困りごとを解決した結果発表だ。 客が「潜在的に」欲しいと思っている商品を探そうと思ったら、まず自分自身に困っていることはないかと問いかける。それで、これを解決したらいいんじゃないかと考えることだ。