「謙虚は美徳ではない」。伊藤忠CEOが断言、仕事ができる人に共通する5つのこと
2.難しい言葉でしゃべらない。難解な文章も書かない
岡藤が社長になったのは2010年。真っ先にやったことは役員会の開催回数を減らし、時間を短くし、さらに分厚い会議資料を少なくしたことだ。 役員会議の開催数、会議時間、会議資料は従来よりも、それぞれ約3割、約4割、約5割も減った。そして、単純計算で役員ひとり当たり、年間約35時間、会議の時間が少なくなっている。 そして、減らした時間を「稼ぐために営業現場へ行く」ことに使った。 営業にかける時間を増やしたのだから、当然、結果は出る。 加えて、会議の事務当局の負担が激減した。会議の下準備、資料の作成に時間をかけていた社員たちの仕事も減った。会議にかかわる人間は減った時間を他の仕事に回すことができた。 さらに、会議の進行を早くするため岡藤は資料の文章についてわかりやすく簡単にするべきと指示した。 それは「難しい文章にすると人は読まない」からだ。 「どれほどいいことが書いてあっても、文章は読んでもらってなんぼのもの。会議の資料でも幹部からのメッセージでも難しい文章である必要はない。難しくてさらに分厚い資料は作っても、読む時間がない。僕は社内の資料、メッセージは読んでもらうためのものだからとスタッフに伝えている。 最低限、人に届くことだけを書け、と。難しい文章、必要もない図表を付けるのはプロダクトアウトの考え方や。商人はマーケットインでなくてはいかん。文章も資料もマーケットインで書くこと。 営業パーソンのしゃべり方も同じこと。アメリカの経営論を講義したって取引先は聞かない。難しい言葉で喋っちゃいけない。 特に伊藤忠は取引先に中小企業が多い。たたき上げの人たちが相手や。一流の大学を出たうちの人間が難しい話ばかりしたら、相手は構えて、こちらの言うことを耳に入れなくなる。取引先の人たちに対して、偉そうに、難しい言葉を使ってしゃべったらあかんわ。 会議の資料でも必ず海外からのレポートを書くのがいるけれど、日経新聞に書いてあるような分析を長々と書くのは意味がない。会議は分析を討議する場ではない。会社として何をやるのか、やらないのかを決めるのだから、背景説明に力を入れることはない。会議の出席者がほしがる資料とは短い分析や。僕なんかがメモして、どこかでしゃべれるようなそういう資料を作ってほしい」(岡藤CEO)