ウクライナの命運はバイデンの決断次第、長射程AMRAAMとATACMS供与を
■ 5.今年中に長射程空対空ミサイル供与を ウクライナの戦闘を急速に有利に進めさせるために、供与すべきものはロシアの短距離弾道ミサイルを破壊できるATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)とAMRAAMだ。 これらを来年1月20日のドナルド・トランプ次期大統領が誕生する前に供与すべきだろう。 この2種類のミサイルをウクライナが求める量を供与すれば、これらの兵器が活躍している間にロシア地上軍の攻勢は止まる。 ATACMSの使用範囲を撤廃する必要性については、私のJBpressの原稿に何度も主張してきたので、説明を省略する。 ウクライナが、ロシアの(1)戦闘機、(2)弾道ミサイル、(3)弾薬庫、(4)予備兵力(待機兵力)を叩き潰せば、ロシアへのダメージは極めて大きい。 これさえできれば、ロシアに勝ち目はなくなるし、劣勢にならざるを得ないからだ。特に、戦闘機撃墜の影響は極めて大きい。 ロシアにダメージを与え、攻勢に出られないように、ロシアの主要戦力を潰すことによって、ロシアは交渉のテーブルに着くし、現実的な和平案を受け入れるだろう。 現実的な交渉をせざるを得なくなるからだ。 もしも、現状のまま交渉を開始しようとしても、ロシアに少しでも有利に展開しているとプーチン大統領が認識している間は、交渉には応じないだろう。 この場合は、ロシアにとって100%有利な条件を提示して、その条件を譲ることはない。 兵士の命の代償として得られた土地を交渉で手放すことはない。 ロシアは、自国が戦況において有利であれば、有利な案を提示し、それも、強硬な態度を採ってくるだろう。
■ 6.ウクライナに不可欠な4つの目標破壊 米国のジョー・バイデン現大統領が、退陣する前にやっておくべきことは、ウクライナが有利に交渉できる環境を作っておくことだ。 あるいは、それが達成できるための兵器、AMRAAMとATACMSを供与しておくことだろう。 また、それらの兵器についてこれまでの使用制限を取り除き、ロシア領内にも使用可能にしておくべきである。 新たに登場するトランプ大統領は、ウクライナにとって有利なに交渉ができるように、また、ロシアが交渉のテーブルに着くように、ロシアの4つの目標を破壊できる準備をしておくことだ。 その4つとは、(1)戦闘機、(2)弾道ミサイル、(3)弾薬庫、(4)予備兵力(待機兵力)である。 特に、戦闘機は短期間に製造することはできず、また特殊な部品も、米欧日から輸入しなければ完成しないので効果が大きい。 ロシアが今後攻勢に出られないように、ロシアに大きな一撃を与えることが、和平交渉には絶対に必要なのだ。 民主主義世界を守り、独裁国家の力による現状変更を許さないためにも、バイデンやトランプ大統領にこのことを切に望みたい。
西村 金一