ウクライナの命運はバイデンの決断次第、長射程AMRAAMとATACMS供与を
■ 3.空爆がウクライナ防御ラインに穴開ける ロシアの戦闘機は、空爆に弾頭重量250キロ~3トンの滑空爆弾を使用している。 重量500 キロの滑空爆弾に100キロの爆薬が装填されているのであれば、155ミリ砲弾の10キロの爆薬に比べて、単純計算でも10倍の破壊力があることになる。 この滑空爆弾がクライナ陣地に命中すると、防御陣地は破壊される。 ウクライナ防御陣地の一部の破壊で、防御ラインに穴が開き、そこを突破されることになる。 ドネツク州における戦いでロシアの攻撃が前進できているのは、地上軍の攻撃前に空爆を実施し、防御陣地を破壊したところに戦力を集中させ、兵士の肉弾戦を継続しているためだ。 ウクライナは、防空兵器の射程外から攻撃(アウトレンジ戦法)するロシアの空爆を止められないでいる。 その空爆の回数は増加している。何とか阻止したいのであるが、その戦闘機を直接撃墜できないために止められないのだ。 ウクライナがロシア機を撃墜するためには、「F-16」戦闘機と長射程の空対空ミサイル「AMRAAM」(射程:C型110キロ、D型180キロ)を使用することが必要だ。 F-16は、数量は多くはないが、逐次供与されることになっている。 それに加えて、ロシアが現在保有する戦闘機全機を撃墜できる量のF-16搭載AMRAAMが必要なのである。 図 ロシア戦闘機、滑空爆弾による空爆とウクライナの対応イメージ
■ 4.ロシアの空爆を阻止できない理由 ロシア軍用機がどれほど撃墜されたのか。 ウクライナ参謀部の毎日の発表ををグラフにすると、ロシア侵攻の当初2か月間では約180機が撃墜・破壊されたが、3か月後の1か月間には約30機、侵攻後1年間は月に20機以下であった。 その後、まれに月に8機という時期もあったが、ほとんどが5機以下であった。 F-16戦闘機が6機供与された8月以降については、8月4機、9月2機、10月0機である。 この数値は、F-16が供与される前とほとんど変化がないことから、戦闘機によって撃墜された可能性は少ないと見てよいだろう。 特に、10月に0機であることは、ウクライナにとっては、かなり不満なことであろう。 グラフ3 ロシア軍機(戦闘機)損失数の推移