ハワイがサッカー界の「ラストマーケット」? プロスポーツがない超人気観光地が秘める無限の可能性
ハワイ×スポーツの可能性とは?
――7月にハワイで行われる「パフィシック・リム・カップ」を主催されていますが、この大会はどのような経緯でスタートしたのですか? 中村:北中米・カリブ海サッカー連盟の盟主であるアメリカと、AFC(アジアサッカー連盟)のリーダーである日本をつなげることができれば、ヨーロッパ、南米に続くサッカー界3つ目の勢力になると考え、大学院時代に関連する卒論を書いたんです。それをもとに、2008年に環太平洋のクラブが出場する「パンパシフィックチャンピオンシップ」という大会を立ち上げました。 MLSでさまざまなチームのツアーを手がけた時に、中にはスタッフがあまり行きたがらない場所があったんですよ。街が栄えていなくて、何もないから「行っても楽しくない」という理由で、協力を集めるのが難しかったんです。そのような経験もあり、「まずはみんながワクワクして行ける場所がいいな」と考えて、ハワイで大会を開催してみようと。実際、200人のスタッフに加えて想像以上に関係者がたくさん集まってくれて、「これ以上来ても困る」というぐらい人が集まりましたから(笑)。 第一回大会はベッカム選手が出場したこともあって大成功だったのですが、それゆえに他のプロモーターに売却されて自分の手元に権利がなくなってしまいました。その後、他の仕事をしている時に、ハワイ観光局とESPNから「単発でもう一度大会をやってほしい」とオファーを受けたので、その大会限りの契約をして、2012年に単発で主催したんです。その時も成功したので、この大会を継続的に実施したいと思い、2015年に独立して自分の会社を立ち上げ、2018年に「パフィシック・リム・カップ」としてハワイで復活させました。コロナ禍で2020年以降は中断していた時期もあったのですが、2022年からは子ども向けのクリニックだけという形で再開しています。 ――ハワイはマリンスポーツが有名ですが、サッカーなどの市場もお客さんが集まるのですか? 中村:ハワイは、ラスベガスとかニューヨーク、ロンドンや東京と並んで世界的なブランドになっていますが、スポーツの観光誘致はマリンスポーツとトライアスロンぐらいで、プロスポーツはゼロなんです。男子サッカーは高校が最高レベルで、大学ではトップレベルのチームがない。スタジアムなどの施設はあってもそれを生かすノウハウがなく、芝生なども整備されていない状況です。そのため私たちは大会の半年前から芝生の管理人を雇って手入れをしてもらい、試合時のセキュリティの配置や、ホテルでアスリート向けの食事をどうするかといったことも考えています。そうすることでノウハウを広げていきたいと思っています。