永遠に残る化学物質「PFAS」を水から除去する簡単な方法、あります
PFASはろ過できるのか?
研究チームは、ボトル水のPFAS濃度の方が低かったことに注目し、煮沸と活性炭フィルター(ポット型)によるろ過の効果を調べました。 その結果、やかんで沸騰させると、分析対象とした10種類のPFASすべてで濃度の低下が確認できました。PFOAと、米国環境保護庁が規制濃度を定めている3種類のPFASの濃度は11%~14%減少し、規制されていない高揮発性のPFASは61%~86%の濃度低下が見られました。 規制対象のPFASは最大14%しか除去されないということで、沸騰させれば安心とは言えなそうです。 次に、活性炭フィルターを使用したケースでは、実験を行なったすべてのサンプルでPFASの濃度が81%~96%減少しました。活性炭フィルターでろ過したあと、さらに沸騰させると、濃度は81%~99.6%減少したそうです。 この結果は、活性炭フィルターを用いたポット型浄水器を使用すれば、規制対象になっているタイプのPFASの濃度を大幅(80%以上)に低くできることを示唆しています。沸騰させるとちょっとはPFASを除去できますが、フィルターと併用しないと効果は低そうです。
国際的な規制が進むPFAS
PFOSとPFOAは、国際的な規制が進んだため、日本を始め多くの国で製造と輸入が禁止されていますが、環境中に残留していることから、水道水や井戸水などが汚染される事例が相次いで報告されています。 水道水などのPFAS濃度は、国際的に規制が進んでいます。世界保健機関(WHO)は、PFOSとPFOAについて水1リットルあたり100ナノグラム、(ナノは10億分の1)、すべてのPFASで同500ナノグラムを暫定基準値として提案しています。 アメリカは2024年4月、バイデン政権が世界で最も厳しい基準値を設けました。PFOSとPFOAの基準値はそれぞれ1リットルあたり4ナノグラムになっています。トランプ政権移行後もこの基準値が継続するかは不明です。 日本は、水道水や河川などにおける水質管理上の暫定的な目標値を、PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり50ナノグラムに設定しています。 活性炭フィルターと煮沸でPFASの大部分を除去できるのはいいことですけど、浄水器本体とフィルター交換はコストがかかりますし、やっぱり国や自治体が健康を最優先にして規制と浄水を行なうべきでしょう。安全な飲み水がぜいたく品になるのは避けたいところです。 Source: Gao et al. 2024 / ACS ES&T Water, The Conversation Reference: 環境省, TIME , SciencePortal
Kenji P. Miyajima