このままでは5000万円も課税される…90代資産家の祖母の「相続対策」を放置してしまった末路
高齢になった祖父母。いまは元気だとしても、なるべく早いうちに考えておかなければならないのが相続の問題です。資産をなるべく減らさずに、次の世代に受け継ぐにはどのようにすればいいのでしょう。夢相続の代表で、相続実務士の曽根恵子さんが相談者である30代女性Kさんの事例から相続に関する疑問を紐解いていきます。 【マンガ】夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からのお知らせ
相続人は子ども2人
90代の祖母の相続対策のアドバイスをしてもらいたいとKさん(30代)が相談に来られました。祖母の相続人はKさんの母親と叔母の2人。2人とも嫁いでいて、祖母は一人暮らしをしています。 Kさん家族は同じ市内に住んでいるので、母親とKさんや妹で毎日、祖母の家に通って食事の用意や身の回りの世話をしています。叔母は他県に嫁いだため、頻繁には来れず、Kさん家族が担当していると言います。 祖母が90代の後半、母親と叔母も70代となり、相続が気になって、Kさんが相談に来られました。
祖父は農家の土地持ち資産家
10年前に亡くなった祖父は農家の長男で、建築会社に務めながら休日は田畑の維持のために農業も継続していました。農業は自家消費程度でしたが、農地として維持することで固定資産税は農地並みとなり、多少なりとも固定資産税の負担は軽減されてします。 農家住宅となる実家の土地は500坪あり、祖母のひとり暮らしでは広すぎる状況です。 他の財産は駐車場、アパート、貸し宅地があり、賃貸収入もありました。祖父の相続のときは広い自宅と貸宅地は祖母が相続し、駐車場、アパートは母親と叔母が1つずつ相続しましたので、ほぼ法定割合となっています。
二次相続の節税対策が必要
祖父の相続税の申告のコーディネートは夢相続で担当しています。自宅の土地評価を下げて負担を減らして、節税できました。それでも財産は約5億円。相続税は1億3000万円。配偶者の税額軽減により、祖母には納税はなかったことで、やれやれとひと段落されたようです。Kさんの母親や叔母には相続税が課税されましたが、それ以上の預金が残っていて、納税は無理なくできたのでした。 二次相続を考えるとまた5000万円程度の相続税となることが想定されましたので、祖母の節税対策をいくつかご提案していました。けれども祖母も、母親、叔母には危機感がなく、あっという間に5年が過ぎたのです。